1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650866
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 吉哉 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00092247)
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Keywords | シリコン / リン / 太陽電池 / 気体輸送法 / 溶解平衡 |
Research Abstract |
本年度は太陽電池用シリコンの精製においてその除去が困難とされるりんがシリコン中に溶解する際の標準自由エネルギー変化を一定のりん分圧下で溶融シリコンを平衡させることにより測定した。まず、一定のりん分圧を制御するためのりんガス発生器を作製し、固体りんがアルゴンガスに飽和する最適条件を模索し、所定のりん分圧に制御されるガス発生条件を確認しアルゴンガスの流量を190mlとした。また、シリコンに先立ち溶融銀を平衡させ、既存の銀中へのりんの溶解反応の自由エネルギー変化からりん分圧を求め、制御している分圧と一致することを確認することにより本実験方法の妥当性を明らかにした。次に、1550℃において種々のりん分圧下で溶融シリコンを用いて実験を行い、りん分圧と実験後のシリコン中のりん濃度との関係を得た。P2ガスの分圧の平方根とシリコン中のりん濃度は0.1mass%以下では比例関係にあることから、本濃度域ではヘンリー則が成立していることがわかり、また同温度でのシリコン中へのりんの溶解反応の自由エネルギー変化が求められた。さらに実験温度を1450〜1600℃の範囲で変化させて実験を行い、上記自由エネルギー変化と温度の間には直線関係が得られ、次のような温度関数が求められた。ΔG^0=-139,000+43.5T(J/mol)また、この値は銀に比べて大きいものの鉄やマンガン等へのりんの溶解反応の値に比べて小さい値であり、鉄では困難である真空精錬がシリコンでは可能であることを示唆しており、報告されている事実と一致している。現在は、真空精錬の定量的評価を検討中であり、今後本シリコンにマンガン等のシリコンと親和性の高い元素を添加した実験を計画している。
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