1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650868
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
須佐 匡裕 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90187691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南口 誠 東京工業大学, 工学部, 助手 (90272666)
福山 博之 東京工業大学, 工学部, 助手 (40252259)
丸山 俊夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (20114895)
|
Keywords | スラグ / 酸化鉄 / 光吸収 / 電荷移動帯吸収 / 配位子場 / 塩基度 / 酸素のイオン屈折 / メスバウアー分光法 |
Research Abstract |
酸化鉄含有スラグにおいて、配位子である酸素イオンから鉄イオンへの電子遷移による光吸収(電荷移動帯吸収)が波長0.5μm付近で観測される。また、この吸収端波長は、酸化鉄含有量や塩基度の増加とともに長波長側に移動することが知られている。本研究では、(1)スラグの結晶化にともなう光の散乱、(2)鉄イオン(Fe^<3+>)の配位数、及び(2)酸素のイオン屈折と吸収端移動との関連を調べ、吸収端移動の機構を明らかにすることを目的とした。昨年度は、(1)と(2)について行い、これらの因子では吸収端移動を説明できないことを明らかにしたので、本年度は、(3)の観点から研究を行った。 酸化鉄を含有したCaO-SiO_2系及びNa_2O-SiO_2系スラグにおいて、(%CaO)/(%SiO_2)及び(%Na_2O)/(%SiO_2)を0.36-1.13の範囲で、酸化鉄含有量を0-16%の範囲で変化させたもの、また10%Fe_2O_3-CaO-SiO_2系スラグにAl_2O_3を9-18%加えたものを試料とした(%は全て質量%)。大気中、1750-1800Kにおいて、白金るつぼ中で所定組成の試薬を2-6h溶解した後、水冷銅板上に急冷しガラス状の試料を得た。試料表面を鏡面研磨した後、分光光度計を用いて3-0.3μmの波長範囲で透過率を測定し、Lambertの式を用いて吸収スペクトルに換算した。また、スラグ中の酸素のイオン屈折を計算するために必要な屈折率と密度は、それぞれ、アッベ屈折計とアルキメデス法を用いて室温において測定した。 各試料の吸収スペクトルには、酸化鉄の含有量、塩基度、Al_2O_3の含有量の増加に伴って、電荷移動帯吸収の吸収端波長が長波長側に移動する傾向が見られた。吸収端波長を吸収係数が10^4m^<-1>となる波長と定義し、その波長とスラグ中の酸素のイオン屈折との相関を調べたところ、実験に用いた全てのスラグにおいて、イオン屈折の増加とともに吸収端波長が長波長側に移動する傾向があることがわかった。この結果より、スラグにおける電荷移動帯吸収の吸収端の移動は、スラグ中の酸素の電子供給能と関連していると結論した。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] M Hayashi,M Susa,T Oki,K Nagata: "Shift of the absorption edge for the charge transfer band in slags containing iron oxides" ISIJ International. 37・2. 126-133 (1997)