1995 Fiscal Year Annual Research Report
非晶質および準結晶構造を有するアルミニウム-マンガン合金薄膜の電析機構
Project/Area Number |
07650874
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋山 徹也 九州大学, 工学部, 助教授 (10136517)
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Keywords | 溶融塩電解 / アルミニウム合金 / 誘導型共析 / 非晶質合金 |
Research Abstract |
本年度は,MnCl_2を含有するAlCl_3-KCl-NaCl溶融塩浴からのAl-Mn合金電析を行い,以下に示すような,基礎的な電析挙動を検討した。 まず,種々のMn濃度比の浴において,電析合金組成および合金析出の電流効率に及ぼす電流密度の影響を調べた結果,いずれの組成の浴においても比較的低い電流密度域で合金組成はほとんど変化しないという特徴的な電析挙動を示した。一方,高電流密度域においてはAlおよびMn析出の限界電流密度の相対的な大きさに対応して,電流密度の増加と共に合金中のMn含有率は高Mn濃度比の浴においては増加,低Mn濃度比の浴においては減少した。 また,代表的な組成の浴を用いてAlおよびAl-Mn合金の分極曲線を測定した。その結果,合金浴においては,AlあるいはMnのみの析出が認められる電位域が存在せず,AlおよびMnの析出開始電位はほぼ等しいことがわかった。すなわち,AlおよびMnの還元は同時放電においてのみ可能であり,水溶液電解に認められている誘導型共析の挙動に類似したものとなった。さらに,合金電析の際のAlの部分分極曲線はAl単独電析の際のそれに比較して約70mV卑に移行した。 さらに,合金電析に及ぼす浴温の影響について検討した。浴温の上昇は反応イオン種の物質移動を促進し,AlおよびMnの限界電流密度を増大させ,その結果,合金析出の電流効率が低下し始める電流密度が浴温の上昇と共に増加した。一方,電析合金のMn含有率は浴温の増加と共に増加した。これは浴温の上昇とともに,Alの反応活性種であるAl_2Cl_7^-イオン濃度の低下によるものと考えられた。
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