1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650882
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
栗林 一彦 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 教授 (70092195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲富 裕光 宇宙科学研究所, 宇宙基地利用研究センター, 助教授 (50249934)
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Keywords | 電気核生成 / 無機塩類水和物 / 干渉計 |
Research Abstract |
融液から凝固する際に大きな潜熱を発生する無機塩類水和物は、太陽熱冷暖房蓄熱材としての用途が期待されているが、そのためには包晶反応を経ることなく直接に目的の水和物を、しかも容易に核生成させることが鍵となる。これまでのところ、他イオンの添加、過電圧印加等の効果が調べられている。なかでも再現性の高い核生成法として注目されている過電圧印加は、系の静電エネルギーの減少が駆動力と考えられているが、系の熱力学的自由エネルギーを上回るような静電エネルギー、つまり電場勾配の印加が可能であろうか、というのが本研究の出発点である。このような観点から、本研究では、これまでしばしば研究されている酢酸ナトリウム水和物融液を例にとり、静電エネルギー(ζE^2)と過冷却度(S_0)が、ζE^2≫S_0となるかどうかの検討から始めた。 まず、ζ=V_cε_m(1-ξ)/2kT(2+ξ)において、V_c=1.35×10^<-22>[m^3]、ε_m=2.66×10^<-11>[F/m]とし、さらにE=V/δ=0.2V/200μmとすると、ζE^2は〜6.42×10^<-13>となりS_0(〜0.1)に比べて桁違いに小さな値となる。ζE^2≫S_0とするには、δは原子間距離のオーダーとなり、従来の実験結果(δ=2.6×10^<-4>[m])とは反することが分かる。言い換えれば電場勾配を決める銀イオンの分布領域の大きさが、原子間距離のオーダーであるか否かがポイントといえる。光干渉計を用いた濃度分布の測定からは、広範な銀イオンの分布は得られなかったものの、現状の干渉縞の分解能(10μm)では明確な結論を得ることは困難なため、位相シフト法を用いることによる干渉縞の分解能の飛躍的向上を現在進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 栗林一彦: "宇宙環境での材料創成" SUT Bulletin. 10. 32-36 (1995)
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[Publications] K.Kuribayashi et al: "Influence of Release and Transport ot Latent Heat on Solidification Behavior in Faceted Crystal" 2nd Int.Conf.Solidification and Gravity Miskole,Hungary,1995. (印刷中).
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[Publications] 永山勝久、栗林一彦 他: "電磁浮遊加熱溶解装置を用いたNd-Fe2元合金の浮遊溶融凝固法による非平衡相晶出と構造および磁性" 日本金属学会誌. 60-5(印刷中). (1996)
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[Publications] 栗林一彦 他: "二液相分離過程における動的光散乱法適用の試み" 日本マイクログラビティ応用学会誌. 13-2(印刷中). (1996)
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[Publications] K.Kitazono et al: "Internal Stress Superplasticity Induced by Thermal Cycling in Metal Matrix Composite" Trans.Japan Inst.Metals. (印刷中). (1996)
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[Publications] T.Yasuno et al: "Effects of Boride Former Elements on Recovery and Recrystallization of Reverse-transformed Austerite in Fe-19% Ni Alloy" ISIJ International. 36-5(印刷中). (1996)