1995 Fiscal Year Annual Research Report
キトサン・デキストラン複合化蛋白分離剤の開発と大量分取への応用
Project/Area Number |
07650926
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉田 弘之 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50081360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 聡史 大阪府立大学, 工学部, 助手 (50275278)
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Keywords | キトサン / デキストラン / 蛋白質 / 複合化 / 分離 / イオンクロマトグラフ / 吸着 / 圧密 |
Research Abstract |
キトサン樹脂の空隙に、デキストランを埋め込み、架橋した後、ジエチルアミノエチル(DEAE)基を導入することにより、キトサン・デキストラン-DEAE複合化分離剤を合成した。作製した複合化分離剤は、分子量5万〜12万の蛋白質のイオンクロマト分離に適するものであり、これを用いて下記の研究を行った。 (1)圧力損失の実験から、広範囲の流速で圧密が生じないハードゲルであることを確認した。 (2)牛血清アルブミン(BSA)単一成分系の吸着平衡関係を測定した。その結果、平衡関係はpHの影響を強く受け、蛋白質のイオンクロマト分離剤として有効であることが判明した。pH5.5以上では、上に凸の好ましい平衡関係となり、また、pH5.05以下では、下に凸の平衡関係を示した。pH6.9で飽和吸着量が最大値を示した。 (3)pH6.9におけるBSAの飽和吸着量は、キトサン・デキストラン-DEAE複合化分離剤が市販のハードゲルの中で最も優れた性能を有するDEAE Sepharose Fast Flowに比べ、約4.5倍という大きな値を示した。これは、市販のゲル中最大である。 (4)BSAの粒子内拡散係数は、母体のキトサン樹脂に比べ約10倍大きな値を示した。 (5)食塩共存下では、BSAの吸着量は極端に減少し、100molm^<-3>NaCl水溶液中では全く吸着しなかった。すなわち、市販のゲルより低濃度の食塩水溶液により、従来のゲルにみられない極めて濃縮率の高いシャープな溶離曲線が得られることを明らかにした。 (6)牛ヘモグロビン(Hb)の吸着平衡関係は、下に凸の吸着に好ましくない形状を示した。pHの影響はBSAに比べ小さくなった。これより、蛋白質により平衡関係が異なり、多成分の分離に有効であることが推定できる。この件に関しては、次年度詳細な研究を行う。
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