1996 Fiscal Year Annual Research Report
天然高分子のゲル化反応を利用した難濾過性コロイド懸濁質の除去法に関する研究
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07650931
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
岩田 政司 鈴鹿工業高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (10151747)
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Keywords | ゲル / コロイド / アルギン酸ナトリウム / カルシウムイオン / 圧搾脱水 / 圧縮透過試験 / ベントナイト |
Research Abstract |
天然高分子であるアルギン酸ナトリウムとカルシウムイオンのゲル化反応を利用し,コロイド粒子をゲル内に包括させ懸濁系から除去する新規なコロイド分離プロセスについて検討を加えた。本年度得られた結論は以下の通りである。 1.アルギン酸ナトリウム水溶液にコロイド粒子としてベントナイトを懸濁させ,この混合液を塩化カルシウム水溶液に滴下し,コロイド包括ゲルを生成させた。この後,ゲル懸濁液を目開き0.84mmの篩に通し,篩に残る程度の強度のゲルが得られる調製条件を求めた。生物工学の分野で菌体・生物細胞などをアルギン酸ゲルに固定化する際には、アルギン酸ナトリウム水溶液,塩化カルシウム水溶液とも10000ppm程度高濃度で用いられているが,両者ともにその10分の1程度の濃度で十分な強度のゲルが得られることがわかった。 2.塩化カルシウム水溶液10000ppmの条件下で,ベントナイト包括ゲルを調製し,ゲルを圧搾脱水した。ベントナイト包括ゲルの圧搾速度は,未処理のベントナイトの圧搾速度より速くなっていた。また,単にアルギン酸ナトリウムとベントナイトを混合しただけで,カルシウムによるゲル化を行わない場合には,逆にベントナイト単独の圧搾速度より遅くなった。したがって,ゲル化が圧搾素戸の改善に本質的にかかわっていることになる。圧搾速度の尺度である圧密係数を求めたところ,ゲル中のアルギン酸ナトリウムとベントナイトの比が1:9〜2:8程度のところで最大値が得られた。 3.上の条件で調製したベントナイト包括ゲルの圧縮透過試験を行ったところ,ゲル化により,ベントナイトケ-クの内部の構造が大幅に変化し,脱水処理に適した構造になっていることが推察される。
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