1995 Fiscal Year Annual Research Report
分子状水素から触媒活性点が生成する水素化分解用個体酸触媒の開発
Project/Area Number |
07650933
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
服部 英 北海道大学, エネルギー先端工学研究センター, 教授 (00000844)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中戸 晃之 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (10237315)
|
Keywords | 触媒 / 固体酸触媒 / クラッキング / プロトン融点 / 骨格異性化 / 水素分子 / スピルオーバー / 水素化分解 |
Research Abstract |
硫酸イオン修飾酸化ジルコニウムに白金を担持した触媒(Pt/SO_4^<2->-ZrO_2)は、表面で分子状水素から生成したプロトンが酸触媒反応の活性点として作用する触媒系であるが、Pt/SO_4^<2->-ZrO_2以外にも同様な経路で表面プロトン酸点が生成する触媒系を探索したところ、Co.Mo/SiO_2-Al_2O_3、Pt/Al_2O_3-F、Pt/SiO_2とH-ZSM5の機械的混合物が該当触媒系であることを見い出した。 上記触媒と金属成分を含まない数種の固体酸触媒用いブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンの骨格異性化を行い、水素の共存効果を検討したところ、水素分子から表面プロトン酸点を生成する触媒では著しい水素の促進効果が認められた。また、それらの触媒は、クメンのクラッキングにおいても水素の促進効果が認められた。 触媒表面における水素の挙動を調べたところ次のことが分かった。分子状水素が、担持されている金属成分により原子状水素に解離し、担体上にスピルオーバーし、さらに表面拡散して担体のルイス酸点に到達する。原子状水素は電子をルイス酸点に与え、自身はプロトンとなり触媒活性点として作用する。この様な水素との相互作用が出来る触媒は、水素原子が表面移動でき、しかもルイス酸点を有する担体上に水素分子を解離出来る成分を担持している触媒であることが分かった。 分子量の大きい重質油の水素化分解を効率的に行うことの出来る担体を調製するために、メソ孔を有する固体酸を、層状シリカより合成し、Ni、Coを担持させ、テトラリンの水素化、水素化分解、キノリンの水素化脱窒素に用いたが、金属成分の分散が十分ではなく、期待した触媒性能は発揮されなかった。より強いルイス酸点の賦与と金属成分の高分散化が課題であると推測される。
|