1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650943
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 泰和 東京理科大学, 工学部, 教授 (10010761)
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Keywords | 液膜状態 / 脱水素触媒作用 / スーパーヒート / 温度勾配 / 固液界面 / 平衡転化率凌駕 / 2-プロパノール / シクロヘキサン類 |
Research Abstract |
沸騰加熱条件下、基質溶液量を炭素担持金属触媒に対し充分小さくとって有機化合物の脱水素反応を行うと、触媒は懸濁状態から液膜状態と呼ぶべき新しい特性を発揮するあり方に移行する。そこでは、(1)基質溶液相からの蒸発速度が低下する。(2)炭素担持金属触媒層の温度が上昇する。(3)溶液相バルクからばかりでなく、炭素担持触媒粉体からも激しく気泡が発生し、それに伴って、触媒表面からの反応生成物種の脱離が促進される。(4)気泡中の気相組成と溶液バルクの液相組成の間で気液平衡を成立させるだけの時間的余裕なしに、気泡は液相(液膜)を通過し、生成物に富む気体が気相に加わる。(5)凝縮性の有機化合物と水素は冷却によって分離するうえ、水素が沸騰する液相に再び溶け込むことはないので、触媒表面における化学平衡は脱水素の側に有利に偏よる。(6)凝縮し温度の低い基質は吸着し易く、触媒表面での被覆度が大きい。しかも加熱(スーパーヒート)された触媒表面に高濃度で供給され、温度勾配を持つ固液界面で脱水素触媒作用を受けるので、反応速度と転化率が向上する。(7)脱水素反応のワンパス転化率が外部加熱温度での平衡転化率を凌駕する(ΔG>0の実現)。実際は、連続法操作において平衡転化率を越える結果が得られた。(8)このような液膜型脱水素反応の特徴が現れるのは、加熱された触媒活性サイトと沸点にある液相との温度勾配が反応生成物の脱離過程とカップルし、反応を平衡支配でなく速度支配にするため、と考えられる。(9)ベクトル量である不可逆過程の間で現れる干渉現象は、熱拡散など、多くの事例が知られており、プレゴジンの理論的解析(1947年)がある。 本研究を通して、液膜状態の2-プロパノール、シクロヘキサン類脱水素触媒作用の特質が良く理解された、と考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 斉藤泰和・荻野英明・福嶋知之: "炭素担持微粒Pt-Ru複合金属触媒の粒径分布と粒子組成分布" 化学工学論文集. 21・6. 984-989 (1995)
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[Publications] 斉藤泰和・谷田部肇・荻野英明・福嶋知之: "沸騰・液膜条件下での2-プロパノール脱水素触媒反応の特質" 水素エネルギーシステム. 21・1. 34-41 (1996)
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[Publications] 斉藤泰和: "遷移金属錯体の光触媒作用" ファインケミカル. 25・14. 5-14 (1996)
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[Publications] 斉藤泰和: "ケミカルヒートポンプの現状と課題" 化学工学. 60・4. 255-259 (1996)
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[Publications] 劉純山・坂口麻美子・斉藤泰和: "デカリン脱水素/ナフタレン水素化触媒反応対を用いる水素の長期間貯蔵・長距離輸送" 水素エネルギーシステム. 21・1(印刷中). (1997)
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[Publications] N.Meng,S.Shinoda,Y.Saito: "Improvements on Thermal Efficiency of Chemical Heat Pump" Int.J.Hydrogen Energy. 22(印刷中). (1997)