1996 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄細菌由来の酸性ホスファターゼが硫酸によって賦活される現象の解明とその利用
Project/Area Number |
07650955
|
Research Institution | Yamanashi University |
Principal Investigator |
天野 義文 山梨大学, 工学部, 教授 (70020401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和夫 山梨大学, 工学部, 助手 (80111780)
黒澤 尋 山梨大学, 工学部, 助教授 (10225295)
|
Keywords | 硫黄酸化細菌 / 酸性ホスファターゼ / 硫酸 |
Research Abstract |
グリコース-6ーリン酸を基質として硫黄酸化細菌Thiobacillus thiooxidans JCM7814菌体の酸性ホスファターゼが硫酸によって活性化される現象を応用して硫酸濃度を定量した。硫酸濃度に応じて生成するグルコース量を、グルコースオキシダーゼを固定化した酸素電極を用いて測定することによって、対応する硫酸濃度を定量することを試みた。 菌体の酸性ホスファターゼ活性をグルコース-6ーリン酸を基質としたところ、酵素活性が小さかった。しかし菌体を加熱処理して活性を測定すると、加熱処理菌体の硫酸による活性化率は未処理菌体の約6倍に上昇することが見いだされた。よって、加熱処理菌体を用いて硫酸イオンの測定を行うこととした。菌体の加熱処理条件を検討したところ、菌体懸濁液を70°C、30分間加熱すると大きな活性が生ずることがわかった。加熱処理菌体の酵素活性は4°Cで30日間以上安定であった。最適活性測定条件はpH4.0、温度50°C、基質濃度10mMであった。 加熱処理菌体を固定化しカラムに充填して酵素リアクターを作製した。更にグルコースオキシダーゼを固定化して酸素電極に装着して酵素センサを作製した、カラムに硫酸イオンおよび基質を含む緩衝液を送液した後、緩衝液のみを流す操作を続けた。カラムからの流出液を酵素センサで測定した。溶存酸素濃度の減少量が硫酸イオン濃度1mMまでの範囲で直線関係を示した。雨水、河川水などの試料に含まれる硫酸イオン濃度測定値がクロラニル酸バリウム法で測定した値とほぼ一致することがわかった。 以上の結果より、硫酸イオンによる酸性ホスファターゼの活性化を応用して硫酸イオン濃度を連続的に測定できることが可能になった。
|