1997 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌におけるクエン酸生産関連酵素の遺伝子工学を利用した機能解析
Project/Area Number |
07650965
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宇佐美 昭次 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50063508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐村 光太郎 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (90195412)
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Keywords | イソクエン酸デヒドロゲナーゼ / クエン酸シンターゼ / クエン酸発酵 / クロコウジカビ / クローニング |
Research Abstract |
糸状菌 Aspergillus niger(クロコウジカビ)において、クエン酸シンターゼと NADP-イソクエン酸デヒドロゲナーゼはクエン酸生産に重要な役割を果たす酵素である。本研究では、これらをコードする遺伝子をクローニングして塩基配列を初めて明らかにした。クエン酸シンターゼのcDNAは、1,425bpの塩基対から成り、475アミノ酸から構成される分子量52,000Daのタンパク質をコードしていた。当該cDNAを大腸菌の発現ベクターpKK223-3に連結してクエン酸シンターゼ欠損株(グルタミン酸要求性)に導入して栄養要求性の相補試験を行った。形質転換体が原栄養要求性となることと酵素活性の検出により当該cDNAの機能を確認した。サザンハイブリダイゼーションにより、クエン酸シンターゼをコードする遺伝子は染色体上に1コピーのみ存在することを明らかにした。染色体遺伝子についても調節領域を含めて塩基配列を決定し、染色体遺伝子では読み取り枠の領域が6つのイントロンで分断されており、調節領域にはTATA配列やCAAT配列がなくCTに富む領域が存在することを明らかにした。一方、NADP-イソクエン酸デヒドロゲナーゼのcDNAは、1,494bpの塩基対から成り 498アミノ酸から構成されるタンパク質をコードしていた。当該cDNAを大腸菌の当該酵素欠損変異株に導入して相補試験を行い、形質転換体が原栄養要求性となることと活性の検出により機能を確認した。当該遺伝子は染色体上には1コピーのみ存在し、全領域をカバーする約3kbpの染色体断片について全塩基配列を決定した。cDNAとの比較から、染色体遺伝子では読み取り枠の領域が49〜241bpの比較的長いものを含めて7つのイントロンにより分断されており、さらに開始コドンとプロモーター領域の間にも1箇所イントロンの挿入が認められた。調節領域にはCAAT配列と類似する構造が2箇所に認められた。
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