1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650966
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土戸 哲明 関西大学, 工学部, 教授 (50029295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 吉信 関西大学, 工学部, 助手 (40268313)
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Keywords | ストレス蛋白質 / 大腸菌 / 熱変性 / 熱ショック蛋白質 / 細胞膜 / 細胞膜酵素 |
Research Abstract |
有害微生物の生存制御は昨年の大腸菌O157の問題に象徴されるように、食品や医薬品、環境などの分野で極めて重要な問題である。加熱などの殺菌処理によって微生物細胞は可逆的または不可逆的な損傷を蒙り、その生死はその後の損傷回復能力に依存する。この回復期間にいわゆるストレス応答が起こり、ストレス蛋白質が誘導合成される。前年度に引き続いて行った今年度の研究では、以下の結果を得た。 1.細胞内蛋白質動態 大腸菌の加熱処理により、細胞内可溶性蛋白質が変性、不溶化し、一部は凝集沈降したが、また一部は細胞外へ排出されることが示唆された。この現象は一般の蛋白以外に、β-ガラクトシダーゼの活性およびそれに対する抗体を用いたウエスタンブロッティングでも同様な傾向を示した。この排出がエネルギー依存性であることが示唆されたので、加熱培地を緩衝液から栄養培地に変更したところ、より顕著な結果が得られた。 2.15kDa熱ショック蛋白質の分離・精製とその大量発現株と欠損株の作製 上の凝集沈降画分には15kDa熱ショック蛋白質が局在することを報告しているが、この役割を追求するために、分離・精製を行い、さらにそれをもとに遺伝子のクローニングを行い、この蛋白質の大量発現株を作製した。また遺伝子破壊による欠損株も作製中である。 これらの株の性質について検討予定である。 3.細胞質膜機能の熱損傷機構解析 変性蛋白質の排出に関連して細胞質膜機能の熱損傷について検討した。NADH脱水素酵素の特異的な失活パターンが得られた。
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