1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650974
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岩附 正明 山梨大学, 工学部・化学生物工学科, 教授 (20020430)
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Keywords | 大気粒子状物質 / 系統的状態分析 / 水溶性成分 / 酸可溶性成分 / 酸不溶性成分 / 結晶性成分 / 元素状炭素 / X線分析 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,捕集地点での粒子状物質の特徴やその長期的変化を知るのに好都合な空調設備バグフィルター捕集試料についてさらに研究を進め,水溶性・酸可溶性成分の系統的定量分析法及び斜長石のX線回折定量法を確立した.また,熱分析における昇温条件を工夫するなどして,元素状炭素と不溶性有機質炭素を分別定量する方法を確立した.これらの研究成果は関連学会で発表し,論文を投稿準備中である.さらに,短期間の汚染状況の把握に適したロ-ボリュームサンプラーによりフィルター上に捕集した試料についても系統的状態分析法を研究した.すなわち,まず種種のフィルターについて捕集可能期間や状態分析との適合性を検討した.親水化テフロン製フィルターは不純物が少なく,晴天時は1時間以上捕集できたが,雨天時には流量低下が大きかった.再生セルロース製フィルターは20日間以上所定流量で捕集でき,不純物が多かったものの,水洗により大幅に減らすことができた.水溶性及び酸可溶性成分は,捕集フィルターをフィルターホルダーに挟んで水または酸溶液を繰り返しろ過して得た抽出液をICP発光分析することにより簡便に定量できた.酸不溶性成分は,抽出後のフィルターを本研究で開発した活性炭担持薄膜標準資料を用いる蛍光X線法により分析して,簡便に多元素同時定量できた.しかし,結晶性成分のX線回折分析は,捕集フィルターそのままでは石英や塩化アンモニウムしか検出できなかったが,超音波を利用してフィルターから剥離後,直径16mmに濃縮することによりマグネタイト,ヘマタイト,斜長石なども検出・定量できた.また,この試料についても,開発した熱分析法により元素状炭素を有機質炭素と区別して定量できた.
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