1995 Fiscal Year Annual Research Report
液中AFM・STMによる金属不働態皮膜の成長・破壊過程の追跡と局所過程励起の試み
Project/Area Number |
07650984
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安住 和久 北海道大学, 工学部, 助教授 (60175875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 和彦 東京工業大学, 金属工学科, 助手 (60241361)
瀬尾 真浩 北海道大学, 工学部, 教授 (20002016)
|
Keywords | 原子間力顕微鏡 / トンネル顕微鏡 / 不働態皮膜 / 脱不働態 / 再不働態化 |
Research Abstract |
本研究では、電気化学AFM/STMを用いて分極状態下における金属不働態皮膜の生成・成長・破壊過程に関してサブミクロン以下での新しい知見を得ること、局所過程を励起しながら観察する手法を開発することを目的としている。本年度は主に、チタン板および石英基板上にスパッタリングで製膜したチタン薄膜のアノード酸化過程およびブレークダウン過程における皮膜の形態変化の追跡を試みた。 AFMでは画像が数値データとして処理されるため、高さ方向を極端に拡大することにより通常のSEM観察では見られない表面像を得ることが出来る。チタン薄膜のAFM像より、薄膜表面は粒子状に成長・製膜ていることがわかった。これをアノード酸化すると、酸化物下形成による体積膨張により個々の粒子が電極表面から突出し、さらに酸化されてゆく様子が見られた。電位をさらにアノード側にすると、皮膜のブレークダウンに係わるものと思われるサブμmオーダーのうねりが表面に生じる様子が見られた。同様な測定を機械研磨したチタン板について行ったところ、初期の表面では機械研磨跡が見られたが、分極電位2Vで研摩跡が不働態皮膜で覆われ、6V付近ではTiO2微結晶の形成に伴う直径2〜300nm程度、高さ数〜数10nm程度の突出部が形成されるようになり、9Vでは全面がこのような突出物で覆われた。この突出部はチタン薄膜で見られたうねりと同程度のサイズであった。従来の研究より、チタン不働態皮膜がブレークダウンにより表面粗度が増加することは知られていたが、その実体がこのような特異な形態を持つことは、皮膜の生成・成長機構を知る上での新しい知見となる。 本研究では、液中測定セルに付けられた対極白金線が小さく試料電極の分極が充分にできないこと、液量が少なく気泡発生の影響もあることがわかった。これらの問題を順次解決しながら研究を継続する予定である。
|