1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650988
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川村 尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (40026125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 昌弘 岐阜大学, 工学部, 助手 (80201961)
辻 康之 岐阜大学, 工学部, 助教授 (30144330)
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Keywords | クラスター錯体 / イオンラジカル / 電導度 / 結晶構造 / 不対電子軌道 / ロジウム / 芳香族配位子 |
Research Abstract |
π供与性の強い共役電子系をもつ配位子により架橋されたロジウム等の遷移金属の複核錯体において、複数の配位子上の共役π電子系が金属原子間のδ形軌道を介して相互作用した新しい電子系の形成が期待される。このような錯体の結晶中では多次元相互作用系が構築され、磁性や電導性等の面で新しい機能の発現が期待される。そこでアミノピリジン誘導体を架橋配位子とするRh(II)複核錯体を取り上げ、それらの分子内π-δ相互作用と分子間π-π相互作用を評価することを目指し、それらの幾何構造ならびに電子構造と物性評価を進め、以下のような結果を得た。 (1)2-(methylamino)pyridinateを架橋配位子とするRh(II)の新規複核錯体及びその1電子酸化により形成されるカチオンラジカル塩をそれぞれ合成単離し,単結晶X線構造解析を行った。1電子酸化に伴って、Rh-Rh結合距離は0.03Å短くなり、Rh-N(amino)結合距離は0.05Å長くなり、Rh-N(pyrideine)結合距離は殆ど変化しなかった(0.01Å以下)。この結果は、カチオンラジカルの不対電子軌道がRh-Rh間反結合性δ形・Rh-N間反結合性π形軌道であることを示している。 (2)この新規Rh(II)複核錯体のCVは、-0.49及び+0.27V vs Fc/Fc^+に化学的に化逆な1電子酸化波を示し、この酸化電位は従来知られているRh(II)複核錯体のいずれよりも低い酸化電位であり、2-(methylamino)-pyridinate架橋配位子の強いπ供与性によると考えられ、比較的大きなδ-π相互作用の存在を示唆している。 (3)このカチオンラジカル塩結晶はカチオンラジカル分子の2次元網目配列構造をもつことが見出され、また室温での伝導度は、4×10^<-7>Scm^<-1>であった。
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[Publications] 海老原昌弘: "Mixed Metal Complexes of Group 10 and 11 Blements. The Structure and Properties of [M(mnt)_2{Ag(PR_3)}_2](M=Ni,Pd,Pt;mnt_<2->=maleonitriledithilate)" Inorg. Chim. Acta. 231. 35-43 (1995)
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[Publications] 所健児: "(CuX)_n Helical Chains in [Pt(S_2CNBt_2)_2Cu_2X_2](X=Br,Cl)" Acta Cryst.C51. 2010-2013 (1995)