1995 Fiscal Year Annual Research Report
新規な三元系複合化合物におけるイオン伝導性能機能の発現と導電機構
Project/Area Number |
07650995
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
江坂 享男 鳥取大学, 工学部, 教授 (70116317)
|
Keywords | イオン伝導性 / 固体電解質 / 硫酸カルシウム / 酸素酸塩 |
Research Abstract |
CaSO_4-CaCl_2系およびSrSO_4-SrCl_2系試料を検討したところ、前者ではCaCl_2を30mol%、後者ではSrCl_2を20mol%添加しても母体と同じX線回折パターンを示し、それぞれの酸素酸塩にハロゲン化物を加えることにより固溶体生成の可能なことが分かった。このように固溶体が生成するのは、酸素酸塩中の酸素酸イオンがハロゲン化物イオンを置換しうるためと考えられた。次に、(CaSO_4)_<1-x>(CaCl_2)_X系試料の導電率について検討した。CaSO_4は1000℃においても2X10^<-5>Scm^<-1>程度の低い値しか示さなかったが、CaCl_2の添加量が増えるとともに導電率は増大した。この系では、500℃以上においてx=0.15が最も高い導電率を示した。しかし更に添加量を増やすに従い焼結性が悪くなるとともに吸湿性が激しくなり、導電性は低下した。(SrSO_4)_<1-x>(SrCl_2)_X系の導電性も、導電率自体はCaSO_4系より若干低いものであったが、ほぼこれと同じ傾向を示した。これらの導電体中の導電イオン種を電池法および電解法で検討したところ、後者の系では塩化物イオンによる導電が支配的であるのに対し、前者では塩化物イオンとともに酸化物イオンも導電に関与することが明らかとなった。 当初期待し、また大きな目標の一つであった、正四面型のSO_4^<2->基がCl_2で置換でき、生成した固溶体中でアニオン伝導性が見いだせたことは、大きな成果であると言える。しかし検討した系のうち、(CaSO_4)_<1-x>(CaCl_2)_X系試料は特に吸湿性が激しいものであった。これは母体化合物および添加物の性質に起因するものであるので、今の所改善はできていないが、母体を炭酸塩系に変えた場合の性質の向上を期待して現在も検討を続けている。
|
-
[Publications] T.Esaka,T.Ikebe,M.Kamata: "Formation of oxideion conductive phase in the substituted oxidesystem based on Zn_2TiO_4" Solid State Ionics. 76. 237-242 (1995)
-
[Publications] 江坂 享男: "イオン伝導性酸化物合成の最近の話題" 電気化学. 63. 789-793 (1995)