1996 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物架橋フッ素雲母のピラ-密度制御と焼結体の性質
Project/Area Number |
07651014
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
北島 國夫 信州大学, 工学部, 教授 (30021009)
|
Keywords | 架橋粘土 / 膨潤性雲母 / 層間挿入反応 / ヒドロキソアルミニウムイオン / チタニアゾル / 細孔径分布 / 比表面積 / 焼結体 |
Research Abstract |
アルミナ架橋フッ素雲母粉末またはこれにバインダーとして多核ヒドキソアルミニウムを加えた成形体を各種焼成条件下で焼成することにより,アルミナ架橋雲母焼結体及びアルミナ架橋雲母-γアルミナ系複合焼結体の調製を試み,焼結挙動及び焼結体の細孔特性を検討した。また,層間イオン種や層電荷の異なる膨潤性合成フッ素雲母[M_xMg_<3-x>Li_xSi_4O_<10>F_2(M=Li,Na,K,x=0.4,0.5,0.6,0.8)]をホスト結晶とし,[TTIP{(C_3H_7O)_4Ti}/HCl]比や塩酸濃度の異なる各種チタニアゾルと反応させて,チタニア架橋雲母の最適生成条件を検討するとともに,チタニア架橋雲母の生成に及ぼす層間イオン種および層電荷の影響を考察した.その結果,1)アルミナ架橋雲母粉末またはこれにバインダーとして多核ヒドキシアルミニウムを加えた成形体を700°Cで焼成すると,架橋構造を維持したままアルミナ架橋雲母焼結体及びアルミナ架橋雲母-γアルミナ系複合焼結体が調製できることが判明し,細孔特性を制御した多孔体成型品の製造に道を開いた。2)架橋体の比表面積値によって検討した最適生成条件は,[TTIP/HCl]比が4であり,用いられる塩酸の濃度が1mol/dm^3で,反応時間が180分であった.3)ホスト結晶の層間イオン種が相違すると,架橋体の層間チタニア収容量や比表面積値が著しく相違し,K系<Na系<Li系の序列が認められた.これはホスト雲母の膨潤能が層間イオン種に依存し,層間挿入反応に影響を与えるためである.4)架橋体の生成および性質は層電荷にも影響され,特にNa_x系で大きな影響が認められ,x=0.6でチタニア収容量が最大となった.5)チタニア架橋フッ素雲母の生成とチタニア架橋雲母の耐熱性はチタニア収容量に依存し,チタニア収容量の一番多いLi_x系架橋体では500°C程度であった.6)Li_x系架橋体では,加熱処理温度が高いと層間域からチタニアが一部掃き出される結果,結晶表面上にアナターゼが析出した.等の知見を得た。
|
-
[Publications] 山口朋浩: "高重合度をもつ多核ヒドロキソアルミニウムイオンと膨潤性合成フッ素雲母との複合体生成" 日本化学会誌. 3. 307-310 (1996)
-
[Publications] 松倉清治: "クロミア架橋フッ素雲母の生成と性質に及ぼす層電荷の影響" 日本化学会誌. 5. 441-448 (1996)
-
[Publications] 國吉太: "チタニア架橋フッ素雲母の生成と性質に及ぼす層間イオン種と層電荷の影響" 日本化学会誌. 7. 638-644 (1996)