1996 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル-ゲル法で得られる酸化物のゲルの安定性に対する熱力学的アプローチ
Project/Area Number |
07651017
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
松岡 純 滋賀県立大学, 工学部 (20238984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 智 滋賀県立大学, 工学部, 助手 (20275168)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / シリカガラス / 反応熱 / 生成エンタルピー / 粘性 / 加水分解 / 紫外反射率 |
Research Abstract |
1.溶解熱熱量計を用いてシリカゾル溶液およびゲルのフッ酸との反応熱を求め,その値からシリカゾル溶液およびゲルの生成エンタルピーを求めた。これと同時にゾル溶液の粘性を測定し,生成エンタルピーとの関係を検討した。ゾル溶液調整後の数時間経った後は,最初は生成エンタルピーの変化速度は粘度の増大と共に減少するが、その後次第に,エンタルピー変化は粘度への依存性が小さくなることがわかった。 2.テトラエトキシシランの加水分解反応の反応熱を測定した。その結果,この反応は発熱反応であり,アルコキシド:水:酸触媒のモル比が1:6:0.01程度の条件では,発熱が生じるまでに数分程度の誘導期間が必要であることがわかった。この事から,第1段の反応の反応熱は小さく,第2段以降の加水分解で,大きな反応熱が生じると考えられる。 3.ケイ素アルコキシドから得られるゲル膜を種々の温度で熱処理した後,800℃で本焼成し,様々な熱履歴を持つゾル-ゲルシリカガラス薄膜を作製した。その真空紫外反射率を測定し励起子ピーク位置の熱処理温度依存性を調べた結果,400℃付近で長時間熱処理すると,溶融法で得られるシリカガラスに近いスペクトルが得られることがわかった。これに対し,熱処理温度が高すぎても低すぎても,励起子ピーク位置は溶融法で得られるシリカガラスよりも低エネルギー側にあった。このことは,ゾル-ゲル法で得られるガラスは溶融法で得られるシリカガラスよりも屈折率が高くなる可能性を示している。
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