1995 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル・ゲル法による強誘電性チタン酸バリウム薄膜の作製と誘電特性
Project/Area Number |
07651020
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 卓 湘南工科大学, 工学部, 教授 (70023265)
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Keywords | ゾル・ゲル法 / チタン酸バリウム / 薄膜 / FRAM / 誘電率 / 強誘電体 |
Research Abstract |
チタン酸バリウムはペロブスカイト構造を持つ代表的な強誘電体として知られている。近年の強誘電体材料の薄膜化技術の進展に伴い、その誘電率が高いことを利用したDRAMキャパシタや分極反転を利用した不揮発性メモリーへの応用が期待されている。チタン酸バリウム薄膜はCVD、スパッタ、真空蒸着、ARE法等で合成されているが、合成された薄膜の強誘電性はほとんど報告されていない。 本研究ではBa-Ti複合アルコキシド溶液からディップコーティング法により強誘電性チタン酸バリウム薄膜を作製し、薄膜の膜厚と結晶性、微細構造及び誘電特性との関係について調べた。Ba-Ti金属アルコキシドを用い各種基板上にディップコーティング法によりゲル膜を作製した。このゲル膜を酸素/水蒸気の混合気流中で120℃、1時間、熱処理した後、650℃、1時間、乾燥酸素気流中で焼成した。得られた薄膜の結晶性をXRD、微構造をFE-SEMによって調べた。誘電特性はインピーダンスアナライザーを用い、ヒステリシス曲線はソ-ヤ・タウワ回路を用いて測定した。 熱処理温度650℃で強誘電性を示す結晶性の高いBaTiO3薄膜が得られた。薄膜は特に優先配向を示さず、約20nmから30nmの粒構造から成っていた。さらに、ディップコーティング/熱処理を繰り返すことより緻密化し、粒径も若干大きくなった。得られた薄膜はヒステリシス曲線を示し、誘電特性は膜厚に依存していることがわかった。膜厚が0.25μmから0.58μmに増加すると誘電率は470から1000、残留分極は4μC/cm_2から8μC/cm^2と増加し、保持力は90kV/cmから30kV/cmに減少することがわかった。誘電特性は膜厚0.25μm以下の薄膜においては導通が生じ評価できなかった。
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