1996 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムアミドの特性を生かした有機硫黄化合物の新規変換反応の開発と応用
Project/Area Number |
07651032
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 和裕 鳥取大学, 工学部, 助教授 (90161976)
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Keywords | マグネシウムアミド / スルホキシド / α-スルフェニルアルキル化 / 不斉合成 / スルフィド / プメラ-反応 / 還元 / スルホニウムイオン |
Research Abstract |
ジイソプロピルアミンと臭化エチルマグネシウムから発生させた、マグネシウムアミド存在下、α-水素を有するスルホキシドを用いる、カルボニル化合物のα-位のα-スルフェニルアルキル化について検討した。マグネシウムアミドが、カルボニル化合物のα-水素を引き抜き、エノラートを発生させることは既に見い出されているので、当初、過剰のマグネシウムアミドにカルボニル化合物を加え、次いでスルホキシドを加え、α-スルフェニルアルキル化生成物を直接得ることを試みたが、失敗に終わった。しかし、ケトンあるいはアルデヒドをエナミンとし、これをα-水素を有するスルホキシドとマグネシウムアミド存在下反応させることにより、α-スルフェニルアルキル化生成物が得られることを見い出した。チオール、カルボニル化合物および塩化水素からの合成が必要で、不安定なα-クロロスルフィドを用いる従来法に比べ、本法はより簡便であるといえる。 また、昨年度見い出した、マグネシウムアミド存在下における、グリニヤール反応剤によるスルホキシドの還元的α-アルキル化について、その不斉合成への応用を検討した。光学活性スルホキシド或いは光学活性二級アミンから発生させたマグネシウムアミドを用いることにより、最高75%の不斉収率で光学活性なスルフィドが得られることを見い出した。光学活性なマグネシウムアミドを、エナンチオ選択的な炭素-炭素結合形成反応に用いた例は、ほとんどない。
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