1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルケニルボロン酸誘導体のフッ素化剤による活性化と合成への利用
Project/Area Number |
07651043
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原 正治 北海道大学, 工学部, 助教授 (20109490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 彊 北海道大学, 工学部, 助手 (50238507)
米田 徳彦 北海道大学, 工学部, 教授 (50001219)
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Keywords | アルケニルボロン酸 / フッ化シアヌル / ジエノン |
Research Abstract |
反応性が低く従来求核種として利用できなかったアルケニルボロン酸を穏和な条件下で活性化し、α、β-不飽和ケトンとの1、4-付加反応に利用する為の新しい反応剤の開発を行ってきた。その結果、昨年度までにフッ化シアヌルを活性化剤として用いる事により、アルケニルボロン酸と不安定なケトンや基質内にハロゲン、エステル、ニトリル、エーテルなどの官能基を持ったα、β-不飽和ケトンとの1、4-付加反応が可能となった。そして、官能基を備えたアルケニルボロン酸との1、4-付加反応により、多官能基化されたγ、δ-不飽和ケトンの一段階合成に成功した。平成8年度は、フッ化シアヌルを活性化として用いるとアルケニルボロン酸の1、4-付加反応の速度がα、β-不飽和ケトンの置換基の位置および種類に大きく影響を受けることを見出した。つまり、不飽和ケトンのβ-位に立体障害となる置換基を導入するか、α-位にアルキル基を導入するとアルケニルボロン酸との1、4-付加反応は著しく遅くなる。このような知見から、一方の二重結合上にのみ反応を遅くする置換基を持った非対称なα、β、α'、β'-不飽和ジエノンを合成し、フッ化シアヌル存在下にアルケニルボロン酸との反応を行ったところ、アルケニル基はジエノンの反応性の高い側から選択的に1、4-付加反応する事を見出した。さらに、生成物に残った反応性の低い方のα、β-不飽和ケトンに反応性の高い別の求核種を反応させることにより、新たな官能基の導入や炭素鎖の延長を行うことができることを見出した。
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[Publications] Shoji Hara: "Cyanuric fluorideinduced 1, 4-addition reaction of alkenylboronicacids to α, β-unsaturated ketones. Stereoselective synthesis of γ, δ-unsaturated ketones having functionalities" SYNLETT. 994-995 (1996)