1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07651074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畑中 研一 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (70167584)
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Keywords | 分岐多糖 / 血統降下作用 / D-キシロース / イミデ-ト法 |
Research Abstract |
C-3位にα-D-グルコピラノシル残基の枝を有する(1→6)-α-D-グルコピラナンが血糖降下作用を有することが報告されているので、本研究では、D-グルコピラノースからC-6位のヒドロキシメチル基を削除したD-キシロピラノースの枝を有する(1→6)-α-D-グルコピラナンの合成を試みた。D-キシロースは五員環構造も六員環構造も取りうるが、イミデ-ト調製時に全ての水酸基をベンジル化することにより六員環構造に固定した。このことは^<13>C-NMRスペクトルによっても確認した。また、キシロシル化の反応は、窒素気流下ではほとんど起こらず、真空中で反応することによって分枝多糖誘導体を与えた。これは、反応中間体であるキシロシルカチオンがグルコシルカチオンと比較して不安定であり、水による分解が起こりやすいためと考えられる。キシロシル化反応によって得られたポリマーの^<13>C-NMRスペクトルは、全てのピークが幅広く、何らかの三次元構造を有しているものと考えられる。そこで、低分子量のポリマーを用いてキシロシル化反応を行った。主鎖となるD-グルコースのC-6炭素のピーク面積と枝糖であるD-キシロースのC-5炭素のピーク面積を比較することにより、枝の導入率は約50%と計算された。一方、C-1炭素のピーク面積を用いて計算したD-キシロシル残基のアノマー構造はα:β=46:54であった。α選択的に糖付加することを目的にβイミデ-トを用いたのであるが、実際にはβ型の枝が多く得られた。イミデ-ト法では、触媒とイミデ-ト、水酸基の比率を変化させることによって、生成する結合の割合が変わってくるので、実験誤差も考慮する必要がある。しかしながら、本研究の場合には、キシロースのイミデ-トそのものの反応性に起因すると考えるのが妥当であろう。グルコースと比べてC-6位のヒドロキシメチル基が不在である分だけピラノース環の動きに自由度が増し、アノマー選択性を低くしている可能性がある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Hatanaka, H.Takeshige, K.-I.Kanno, A.Maruyama, J.Oishi, Y.Kajihara, and H.Hashimoto: "New Polymeric Inhibitor of Galactlosy Transferase" Journal of Carbohydrate Chemistry. 16・4 & 5. 667-672 (1997)
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[Publications] K.-I.Kanno, T.Minamisawa, and K.Hatanaka: "Synthesis of Glycosaminoglycan-like Copolysaccharide Derivative" Polymer Journal. 29・9. 773-774 (1997)
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[Publications] N.Ota, K.Hirano, M.Warashina, A.Andrus, B.Mulah, K.Hatanaka, and K.Taira: "Structural Analysis of Nuclcic Acids by Using Fluorescence Resonance Energy Transfer(FRET)" Nucelic Acids Symposium Series. 37. 207-208 (1997)
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[Publications] 畑中研一、太田早苗、門倉健、粕谷マリア: "分枝多糖誘導体の精密合成" 高分子論文集. 54・12. 947-950 (1997)
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[Publications] M.Kunou and K.Hatanaka: "The effect of Growth Factors on the Cytotoxicity of Sulphated Polysaccharides" Carbohydrate Polymers. (印刷中). (1998)
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[Publications] A.Kai, H.Karasawa, M.Kikawa, K.Hatanaka, K.Matsuzaki, T.Mimura, and Y.Kaneko: "Biosynthesis of ^3C-Labeled Polysaccharides by Pestalotiopsis from ^3C-Labeled Glucose and the Mechanism of Formation" Carbohydrate Polymers. (印刷中). (1998)
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[Publications] 畑中研一、西村紳一郎、大内辰郎、小林一清: "糖質の科学と工学" 講談社サイエンティフィク, 166 (1997)
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[Publications] V.V.Myasoedova et.al: "Polymer Yearbook 14" harwood academic publishers, 293 (1997)