1996 Fiscal Year Annual Research Report
開環リビング重合法を用いる細胞認識機能糖ペプチド複合体の精密合成
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07651081
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 鉦彦 名古屋大学, 農学部, 教授 (20023103)
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Keywords | 糖ペプチド複合体 / 開環重合 / リビング重合 / ブロック共重合体 / グラフト共重合体 / 機能性高分子 / 分子認識 / アミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA) |
Research Abstract |
リビング重合を活用した複合糖質高分子の構造制御合成として、ω-アミン末端ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)およびω-アミン末端ポリ(2-フェニル-2-オキサゾリン)を高分子開始剤に用いたO-(テトラ-O-アセチル-β-_D-グルコピラノシル)-_L-セリンN-カルボキシ無水物(NCA)(1)の開環重合によるポリ[O-(テトラ-O-アセチル-β-_D-グルコピラノシル)-_L-セリン]・ポリ(2-オキサゾリン)ブロック共重合体の合成を行った。脱アセチル化により糖ペプチドブロック共重合体を得た。 糖ペプチドを側鎖に有するグラフト共重合体を合成する目的で、糖ペプチドマクロモノマーの合成およびアクリルアミドと糖ペプチドマクロモノマーとのラジカル共重合を検討した。まず、糖ペプチドマクロモノマーの前駆体として、p-ビニルベンジルアミンを用いた1およびO-(2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-β-_D-グルコピラノシル)-_L-セリンNCAのリビング重合を行い、アセチル基で保護された糖ペプチドマクロモノマーを得た。ヒドラジンとの反応により脱アセチル化し、糖ペプチドマクロモノマーに導いた。アクリルアミドと糖ペプチドマクロモノマーとのラジカル共重合により、構造が明確で鎖長の規制された糖ペプチド側鎖をもつグラフト共重合体を得た。N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基を有するグラフト共重合体の小麦胚芽レクチン(WGAレクチン)を用いた赤血球凝集阻害試験では、グラフト共重合体がGlcNAc単糖と比べて低い糖残基濃度で赤血球の凝集を阻害し、高い分子認識能を持つことがわかった。 以上の研究結果から、糖置換NCAのリビング開環重合を用いた糖ペプチド複合体の合成が、多様な糖鎖高分子の構造制御合成において有用であり、分子設計によって糖の細胞認識能が向上することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Aoi: "First Synthesis of Glycopeptide Macromonomers and Graft-Type Sugar-Containing Polymers with Glycopeptide Side Chains" Macromolecules. 29(12). 4456-4458 (1996)
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[Publications] K.Naka: "Aggregate of Peptide-Containing Block Copolymer with Lipase" Macromolecular Rapid Communicaiton. 17(4). 269-274 (1996)
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[Publications] K.Naka: "Aggregates of Peptide-Containing Block Copolymers and their Interactions with Lipase in Aqueous Solution" Macromolecular Chemistry and Physics. 198(1). 89-100 (1997)
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[Publications] 岡田鉦彦: "球状糖鎖高分子シュガ-ボールの合成と応用" バイオインダストリー. 13(8). 42-50 (1996)
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[Publications] M.Okada: "Glycoproteins (Synthesis by NCA Method)" Polymeric Materials Encyclopedia CRC Press, 9218 (1996)