1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07651084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋吉 一成 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90201285)
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Keywords | 疎水化水溶性高分子 / 自己組織体 / ヒドロゲル / 多糖 / プルラン / コレステロール / ナノパーティクル / 超分子 |
Research Abstract |
我々は、両親媒性高分子特に疎水化高分子に着目し、会合特性とそのナノ組織体の機能について検討してきた。本研究では、直鎖状の水溶性多糖プルランに疎水基として長鎖アルキル基およびコレステロール基を100単糖当たり1〜4個置換した種々の疎水化多糖を合成した。この疎水化多糖(0.1〜0.5wt%)を水に分散させ、超音波照射すると透明な溶液が得られた。会合状態をゲルクロマトグラフ法により調べたところ、サイズ分布が非常に狭く、単分散な集合体を形成していることがわかった。静的光散乱の結果から、コレステロール置換体(CHP)では約10分子、アルキル置換体(ALP)では6〜9分子が会合して微粒子(粒径20〜39nm)が形成されていることがわかった。また、疎水基の置換度が増加すると粒径の小さい会合体が得られた。螢光消光実験により、疎水性会合領域中の疎水基の会合数を求めたところ、CHPでは、約4〜5、ALPでは12〜17となり、その値は置換度にあまり依存しない。 CHP微粒子は、コレステロール基の強い会合力により、ALP微粒子よりもコロイド粒子として非常に安定であり、コレステロール会合領域を架橋領域(ひとつの微粒子あたり9〜15個)とするナノサイズのヒドロゲル微粒子であることが分かった。コレステロール置換度が増加すると、微粒子中の架橋点が増え、架橋領域間つまりヒドロゲル網目の小さな微粒子が形成する。このように、疎水基の置換度、構造を変えることで、微粒子の粒径、糖密度、疎水性および疎水性領域の分布を制御しえることが明らかになった。 コレステロール基による特異な会合力を利用した水溶性高分子間の会合の制御という一般化の観点から、コレステロール置換ポリアミノ酸の合成とその会合特性について検討した。CHP同様にコレステロール置換ポリリシンは、水溶液中で集合体微粒子を形成し、特に高pH(pH10)では、ヘリックス構造を有するヒドロゲルナノ微粒子を形成することが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K. Akiyoshi: "Self-assembly of Hydrophobized Polysaccharide. Structure of Hydrogel Naroparticle and Complexation with Organic Compounds" Proc. Japan Acad.71(B). 15-19 (1995)
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[Publications] K. Akiyoshi: "Artificial Cell Wall for Plant Protoplast. Coating of Plasma Membrane with Hydrophobized Polysaccharides." Chem. Lett.1995. 415-416 (1995)
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[Publications] K. Akiyoshi: "Stabiligation of Insulin upon Supramoleular Complexation with Hydrophobized Polysaccharide Naroparticle" Chem. Lett.1995. 707-708 (1995)
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[Publications] 秋吉一成: "コレステローループルラン分子集合体と牛血清アルブミンとの相互作用に関する熱的研究" 熱測定. 22. 125-130 (1995)
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[Publications] 秋吉一成: "両親媒性多糖のヒドロゲルナノ微粒子形成と蛋白質の包接・安定化" 生物物理. 35. 33-36 (1995)
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[Publications] K. Akiyoshi: "Hydrogel Naroparticle formed by self-assembly of Hydrophobized Polysaccharide. Stabilization of Adriamycin upon Complexation" Eur. J. Pharmaceutics and Biopharmaceutics. in press. (1996)