1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07651090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
田渕 研三 新居浜工業高等専門学校, 工業化学科, 教授 (00044090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 克彦 新居浜工業高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (40149977)
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Keywords | 塩化N-セチルピリジニウム / チオシアン酸カリウム / メタクリル酸メチル / オリゴマー / ピリジニウムチオシアネート / ジヒドロピリジン / 光重合 |
Research Abstract |
水-有機2相系において、塩化N-セチルピリジニウム(CPC)とKSCNを用いてメタクリル酸メチル(MMA)の光重合を行うとオリゴマーが生成する。このオリゴマーは1,4-ジヒドロピリジン末端を有すると考えられ、補酵素NADHと類似の還元性が期待される。昨年度は、溶媒にn-ヘキサンを使用すると有効であるとして、合成法について種々検討した。本年度は、酢酸エチルを溶媒に用いるとより分子量の小さいオリゴマーが生成することが分かったので、水-酢酸エチル2相系でそれらを検討した。 オリゴマーの合成は、100Wの高圧水銀灯を備えた内部照射型光反応装置を用い、一定流量の窒素による通気撹拌をしながら303Kで行った。反応終了後、メタノールを加えてポリマー成分を沈殿させ、それを吸引ろ過により採取した。粗オリゴマーはシリカゲルカラムで精製し、純粋なオリゴマーとした. 溶媒として酢酸エチルを用いた場合のオリゴマーの分子量は4000よりかなり小さいことがGPC分析より分かった.本合成系では、界面に濃縮されたCPCと過剰のKSCNがほぼ定量的に反応し、生じたチオシアン化N-セチルピリジニウム(CPT)が有機相に移動する。酢酸エチルを溶媒として用いると、有機相中のCPTの濃度が高くなるため分子量が小さくなるものと思われる。別途合成したCPTについて酢酸エチル中でUV吸収を測定した結果、320nm付近に緩やかなCT吸収帯が確認された。次に、有機相と水相の容積比を一定にしてMMA濃度とオリゴマーの収量の関係を調べた。その結果、オリゴマーの生成速度はモノマー濃度の1乗に比例することが分かった。以上のことから、オリゴマーの生成重合は、CPTのCT錯体の光分解で生じたラジカルのうち、チオシアノラジカルから開始され、ピリジニルラジカルによって停止する機構であることが示唆された。
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