1996 Fiscal Year Annual Research Report
複合材料積層板表面座屈及び座屈後の特性に関する研究
Project/Area Number |
07651125
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
汪 文学 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40240569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高雄 善裕 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (30108766)
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Keywords | 複合材料積層板 / 層間剥離 / 局所積層非対称性 / 座屈と座屈後 / 3次元非線型有限要素法解析 |
Research Abstract |
複合材料積層板は軽構造部材として、宇宙・航空を始め、多くの分野で広く使われている。そのため、積層板の強度評価、特に、層間剥離に起因する強度低下の評価は積層板の材料、構造設計において不可欠である。中でも、層間剥離による積層板の圧縮強度の低下が特に注目されており、数多くの研究報告が見られる。しかし、この問題の複雑性により、その殆どの研究は剥離による積層板の局所積層非対称性の影響を考慮していない。一方、一般的に、特殊なケース(例えば、一方向材、クロース材等)を除けば、積層対称な積層板に層間剥離剥は発生すると、局所積層非対称が生じられる。このような積層板は、単純な面内負荷を受けても、面外変形が発生するので、本来の対称積層板に比べ構造的に不安定である。そこで、本研究では、その局所積層非対称性による積層板の圧縮強度の影響に焦点を当てて、研究を進めてきた。3次元非線形有限要素法プログラムを開発し、貫通型剥離の数値解析を行った。更に、人工的な貫通型剥離を入れた積層板試験片を製作し、圧縮試験を実施した。その結果、以下のような知見が得られたと考えられる。 1.3次元の非線形数値解析と局所積層非対称性を考慮しない2次元の解析との比較を行い、局所積層非対称により、積層板は変形し易くなり、剥離の長さにもよるが、最大負荷能力が10-20パーセント下がっていることが明らかにした。 2.剥離先端におけるエネルギー開放率の幅方向の平均値か局所積層非対称性を考慮しない場合とほぼ同程度である。しかし、局所積層非対称性の影響で、エネルギー開放率が幅方向にそって大きく変化している。それは、剥離の進展が幅方向に一様ではないことを意味する。 3.短い剥離の場合では、積層板全体の座屈が剥離の進展より先に発生する。厚さ2mmの〔0/45/-45/90〕s積層板で、表面から0.5mmに剥離がある場合の計算により、剥離長さ/積層板長さ<0.2となると、積層板の最大負荷能力が積層板全体の座屈荷重とほほ同じである。即ち、一定程度以内の短い剥離は圧縮強度に影響を及ぼさないことが言えると考えられる。 4.実験では、局所積層非対称性による座屈後の積層板のねじり変形や幅方向の剥離進展の不一様性などを確認し、数値計算の予測と定性的に一致する結果が得られた。しかし、試験片の予き裂の製作や圧縮試験の支持条件などか数値モデルのようにできなかったため、数値計算と定量的に一致する結果が得られなかった。今後の課題と考えている。
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