1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07651144
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千田 佶 東北大学, 工学部, 教授 (10005499)
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Keywords | 鉄酸化細菌 / 酸化反応 / 生成物阻害 / 硫酸第2鉄 |
Research Abstract |
本研究では、鉄酸化細菌のFe^<2+>酸化によって生成するFe^<3+>の阻害軽減を図ることを目的としている。本年度は阻害機構の解明を中心に研究を行い以下の知見が得られている。 1.Na^+濃度の影響 阻害剤であるFe^<3+>として用いる市販試薬の硫酸第2鉄n水和物中には多量の遊離硫酸が含まれているため、反応液(培養液)に添加する際にNaOHによりpHを調整する必要がある。Fe^<3+>濃度を高くして実験を行う場合、相当量のNaOHを加える必要があり、Na^+濃度の影響が無視できないため、まずFe^<3+>を加えずにNa^+としてNa_2SO_4を添加した系で実験を行った。その結果、鉄酸化細菌のFe^<2+>酸化反応はNa^+濃度が0〜0.18mol/dm^3の範囲において阻害されないが、鉄酸化細菌の増殖はNa^+濃度が増大するにつれ阻害されることがわかった。 2.Fe^<3+>濃度の影響(細菌の増殖を伴う場合) 4倍希釈した9K培地中で、鉄酸化細菌の初期菌体数を2×10^6cells/cm^3とし、初期Fe^<3+>濃度を0〜0.29mol/dm^3まで変化させてFe^<2+>酸化速度と菌体増加速度を比較した。その結果、初期Fe^<3+>濃度0.06mol/dm^3以上でFe^<2+>酸化速度と菌体増殖速度に遅れが認められ、その遅れはFe^<3+>濃度が高くなるほど顕著であった。 3.Fe^<3+>濃度の影響(細菌の増殖が起こらない場合) 鉄酸化細菌の初期菌体数を2×10^8cells/cm^3と高くした細菌が増殖しないような条件で、初期Fe^<3+>濃度を0〜0.27mol/dm^3まで変化させてFe^<2+>酸化速度を比較した。その結果、Fe^<3+>濃度が高くなるほど鉄酸化細菌のFe^<2+>酸化は阻害を受けたが、その阻害反応はこれまで報告されているFe^<3+>によるFe^<2+>酸化の拮抗的阻害のモデルでは整理できず、現在新たなモデルを検討中である。
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