1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07651147
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐野 修 山口大学, 工学部, 教授 (20127765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 義明 山口大学, 工学部, 教授 (20107733)
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Keywords | ダブルトーション / ストレスコロ-ジョン / 長期強度 / 岩石 |
Research Abstract |
本研究の主目的は極めて長い期間の地下構造物周辺岩盤の安定性や遮蔽性を支配すると考えられる,極めて遅いきれつの伸長領域を明らかにすることである.まず以前の類似の科学研究費で得られた成果から,日較差ほぼ2℃以内に調整された実験室環境内で±0.5℃内に調整したチャンバー内でさえも載荷系の僅かな伸び縮みに伴い,きれつ先端の応力拡大係数が僅かに変動し,ごくきれつがわずか伸びることがあり得ること,また一度きれつが僅かでも伸びるときれつ面の凹凸によるロッキングが発生し,完全に元に戻ることがないため,結果として,数ヶ月というオーダーで初めて検出できるような載荷点の移動が発生することが分かっている.このような載荷点の移動はリラクゼーション法では大きな誤差をもたらすので,本研究では,空調された室内に温度制御したチャンバーを設置した以前のシステムを改良し,チャンバー内にさらに小さなチャンバーをもうけ,載荷系の温度を0.1℃以内となるよう制御した.その結果,試験開始後ほぼ2年間にわたり,変形量の変動は小さく抑えることができた.きれつは依然として伸び続けているが,おそらく用いた花崗岩の不均質にもとづく数週間にわたる荷重変動が認められており,遅い領域のきれつの速度を正確に求めるのは現時点では困難である.現在のきれつ速度はおおよそ1000億分の1m/sのオーダーである.1年間に1ミリメートル程度である.1万年でも10m程度と極めて小さいが,実際には引張応力場のきれつの速度は伸長に伴い加速するので,一様な引張応力下のきれつの伸長距離の時間変化を求めると,高レベル放射性廃棄物の地層処分で考慮すべきオーダーとなりうることが分かった.
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