1995 Fiscal Year Annual Research Report
金属カルボン酸溶液を出発物質としたジルコニア超微粒子のプロセッシング
Project/Area Number |
07651153
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (90167403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 悟 大阪府立大学, 工学部, 教授 (90081348)
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Keywords | カルボン酸 / 溶媒抽出 / ジルコニア / セラミックス / 酸化物 / 超微粒子 |
Research Abstract |
金属カルボン酸溶液(工業的な溶媒抽剤の錯体)の水熱処理によるジルコニア(ZrO_2)粒子の合成実験を系統的に行い、生成粒子の性状を評価するとともに、沈殿率に及ぼす各種操作因子の影響を明らかにした。 180℃(1.0MPa)から240℃(3.4MPa)の反応条件下で、Zr(IV)-カルボン酸溶液(Zr(IV)初濃度0.4kmol/m^3,フリーのカルボン酸初濃度0.8kmol/m^3)を蒸留水の共存下で180分間加熱処理した場合、結晶性ジルコニアの沈殿が得られた。有機相中のZr(IV)-カルボン酸錯体Zr(OH)_nR_<4-n>(n=0-2)は部分的に加水分解されていると考えられるので、ジルコニア沈殿の総括反応式は以下のように Zr(OH)_nR_<4-n>+(2-n)H_2O=ZrO_2+(4-n)RH(1) 示される。合成粒子の透過型電顕観察から、ジルコニアは0.01μm程度の超微粒子であることがわかった。生成粒子の熱分析を行ったところ、沈殿粒子の乾燥温度が200℃の場合には7.8wt%、乾燥温度が300℃の場合には2.4wt%程度、出発物質(カルボン酸や溶剤)がジルコニア粒子に混入していた。今後は沈殿粒子の乾燥温度をさらに上昇させることで、出発物質によるジルコニアの有機物汚染が軽減できるものと思われる。 Zr(IV)-カルボン酸溶液からジルコニア粒子が生成するまでに、約120分の誘導期間が存在した。しかし、誘導期が終わり粒子の生成が始まれば、加熱時間の経過や反応時間の上昇に伴い、ジルコニアの沈殿率は著しく増加した。反応温度が240℃のときには、誘導期の終了後わずか15分程度でジルコニアの生成反応は完了した。出発溶液中のZr(IV)初濃度を高めたり、フリーのカルボン酸(Zr(IV)と化学結合していない)初濃度を低下させることによって、ジルコニアの沈殿率が大幅に向上した。ジルコニア微粒子を100%近い収率で合成するための反応条件としては、有機相Zr(IV)初濃度>0.3kmol/m^3,フリーのカルボン酸初濃度<1.3kmol/m^3であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)