1995 Fiscal Year Annual Research Report
シイタケ菌におけるプラスミドDNAの探索とその構造解析
Project/Area Number |
07660013
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
福政 幸隆 財団法人日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (00088840)
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Keywords | プラスミドDNA / 種類と構造解析 / シイタケ |
Research Abstract |
本年度の研究では、以下の成果が得られた。1)シイタケ菌に存在する核外遺伝子としてのプラスミドの探索を目的に、地理的分布の異なる野生二核菌糸体90株及び市販栽培品種21株の計111菌株を供試して、それらの培養菌糸体から既往の方法に基づきそれぞれ抽出した全DNAをアガロースゲル電気泳動で分析したところ、約80%の菌株に核やミトコンドリアDNAとは別に計6種類の低分子DNA(9.0,9.8,10.8,11.1,12.1,12.3kb)が存在することを見い出した。これら低分子DNAの分子長は反復実験においても変化せず、また常に安定的に存在していたことから、それらは核やミトコンドリアDNAの抽出過程での断片化により生じたものではなく、細胞内で自律的に増殖するDNA分子すなわちプラスミドであると考えられた。2)そこで、大きさの異なるこれら6種類のプラスミドの相互の相同性についてサザン・ハイブリダイゼーション法で検討した結果、同じ分子長のプラスミドはそれらを保有する菌株の地理的起源とは無関係に相互に高い相同性を示すことがわかった。一方、異なる大きさのプラスミドの間では、9.0kbあるいは11.1kbのプラスミドはそれぞれ他のプラスミドとの間で全く相同性が無かったのに対して、残りの4種類のプラスミドは相互に高い相同性を示した。しかし、いずれのプラスミドも核やミトコンドリアDNAとの間には相同性は無かった。3)これらの結果から、9.0kb及び11.1kbのプラスミドはそれぞれ固有のプラスミド種であると考えられた。他のプラスミドについては、それらは系統類縁的に同じグループに属するプラスミドであると推察されるが、大きさに違いがあるので、異なる種類として扱うのが妥当であると考えられた。4)よって、9.0,11.1,9.8,10.8,12.1及び12.3kbの6種類のプラスミドをそれぞれpLE1,pLE2(=既報のpLLE1),pLE3-A,pLE3-B,pLE3-CそしてpLE3-Dと称し、区別した。
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