1996 Fiscal Year Annual Research Report
シイタケ菌におけるプラスミドDNAの探索とその構造解析
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07660013
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Research Institution | The Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
福政 幸隆 財団法人 日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (00088840)
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Keywords | シイタケ / プラスミドDNA / 種類と構造解析 |
Research Abstract |
本年度の研究では、以下の成果が得られた。(1)前年度報告したシイタケの6種類のDNAプラスミドpLE1,pLE2,pLE3-A,pLE3-B,pLE3-CならびにpLE3-Dは、制限酵素分析と電子顕微鏡観察によって、線状の形態であることが確認された。また、どのプラスミド種の検出に際しても、それを含むDNA画分の菌糸体からの分離過程でプロテナーゼK処理を施さないと、その回収量が激減するかもしくはほとんど認められなくなるので、それらは既知の他の菌類の線状DNAプラスミドと同じように分子末端にタンパク質を保持していると思われた。(2)また、交配に伴うこれらプラスミドの伝達様式を明らかにする目的で、互いに異なる種類のプラスミドを持つ一核菌糸間での正逆交配で得た新生二核菌糸体について調べたところ、いずれの交配組み合わせにおいても、それぞれの親一核菌糸体側から生じた新生二核菌糸体は親一核菌糸体と同じ種類のプラスミドを保有することが判明した。このようにシイタケのプラスミドは交配により片親遺伝いわゆる母性遺伝的に伝達することから、それらは細胞核ではなく細胞質に存在すると考えられた。伝達されたプラスミドは二核菌糸体の栄養生長中も安定して維持された。しかし、二核菌糸体の有性生殖によって形成された担子胞子に由来する一核菌糸でのプラスミドの維持・複製の如何は、細胞核因子の種類に交配されることがわかった。(3)一方、これらプラスミドの地理的分布について検討した結果、それには種類によって明らかな違いが認められた。pLE1は南太平洋熱帯アジア地域からニュージランドの菌株、pLE2は南太平洋熱帯アジアから東南ないし極東アジア地域の菌株、pLE3-AとpLE3-Bは南太平洋熱帯アジア地域の菌株、pLE3-Cは極東アジア地域の菌株、そしてpLE3-Dはニュージランドの菌株にそれぞれ存在した。
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