1996 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ子実の登熟後期における物質代謝と成長停止機構
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07660016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 順子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60191219)
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Keywords | ダイズ / 子実 / クロロフィル / 登熟 |
Research Abstract |
登熟期におけるダイズ子実の内部においては、貯蔵体のタンパク質・油脂の蓄積と共に、糖・デンプン・クロロフィルなどの物質代謝の変化を伴っていることから、種々条件下における成長停止時期の違いとこれらの物質代謝の変動を比較・検討することにより、その機構について新たな知見を得ることを目的として研究を行ってきた。 本年度においては、完熟種子1個あたり重量のほぼ等しいダイズ2品種(品種コガネダイズ、スズマル)を圃場栽培し、登熟期間における粒重増加速度、個体あたりの子実総数、登熟期間等について調査し、また、成分分析を行った。スズマルは北海道で育成された品種であり、九州で育成されたコガネダイズと比較し、東京で生育した場合には、極早生となった。しかし、子実1個あたりの登熟期間はほぼ等しく、子実の乾物増加速度はほぼ同様であるという結果が得られた。莢と子実のクロロフィル含量および含水量について、登熟期間を通して比較した結果においても、コガネダイズとスズマルの間には顕著な差異は認められなかった。昨年度までの研究結果を合わせて考慮すると、子実の登熟期間と登熟速度は、完熟種子1個あたりの重量によって規定され、環境条件の影響を2次的に受けることが推察された。また、スズマルの場合には、莢先熟傾向が認められ、コガネダイズとは全く異なったにもかかわらず、子実の乾物成長に差異が認められなかったことから、ダイズにおける子実の登熟は、子実自身が決めていることが示唆された。
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