1996 Fiscal Year Annual Research Report
水稲各器官の発育・老化過程における暗呼吸の変動要因
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07660020
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 邦行 岡山大学, 農学部, 助教授 (60153798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 俊郎 岡山大学, 農学部, 教授 (10032301)
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Keywords | 水稲 / 暗呼吸速度 / 生長効率 / 乾物生産 / 品種間差 / 施肥レベル / 窒素濃度 |
Research Abstract |
本年度は乾物生産・暗呼吸速度(Rr)・生長効率(GE)の品種間差異および窒素施肥量による相違を検討した.乾物重とLAIは,日本晴に比べタカナリで常に高く推移したが,タカナリのLAIは登熟後期に急激に低下した.CGRは移植後40日から70日頃までタカナリで高く推移した.NARは生育期間を通じて日本晴で高く推移したことから,CGRの相違には主としてLAIが関与すると推察された.暗呼吸速度(Rr)は移植直後に高く出穂期まで急激に低下し,その後はほぼ安定した.タカナリのRrは日本晴に比べ出穂前には若干低く,出穂後は高く推移した.窒素濃度の推移はRrとほぼ同様な推移を示し,出穂前では両者の間に有意な正の相関関係が認められた.GEは両品種ともに出穂前は60〜70%を維持したが出穂期以降低下し,日本晴では40〜50%,タカナリでは30%以下とタカナリで低くなった.両品種の乾物重,LAI,CGRは,施肥量が多いほど高く推移したが,逆にNARは低くなったことから,CGRの相違にはLAIが関与すると推察された.Rrは両品種とも出穂前の相違は小さいが,出穂後では施肥量に応じて増加する傾向が認められた.窒素濃度は両品種とも施肥量が多いほど高く推移し,1995年と同様に出穂前ではRrと有意な相関関係が認められた.GEは両品種ともに出穂前の区間の相違は小さいが,出穂後ではタカナリで標準施肥区45%・多施肥区40%,日本晴では無施肥区52%・標準施肥区49%・多施肥区43%となり,施肥量の増加に伴い低下した. GEは高い乾物生産を示したタカナリで低く,施肥量の増加に伴い両品種ともに乾物重が増加し,GEは低下した.また,品種間及び区間の相違ともに出穂後で著しかった.すなわち,水稲は高い乾物生産を行うと,その植物体を維持するために生育後期の呼吸量が増大しGEが低下すると推察された.このことから,暗呼吸の制御による乾物生産増大の可能性は低いことが示唆された.
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Research Products
(1 results)