Research Abstract |
シュッコンアスター類は遺伝的に多様で,今後,添え花,切り花,鉢花として需要の増加が期待される花卉である.本研究は,方向性を持った効率的な育種方法と物理的・化学的な方法による合理的な草姿制御の方法を開発することを目的としている.初年度の本年は,基礎資料の作成を目的に,シュッコンアスターの生育のモデル化,花序発達の規則性の解析,草姿ならびに花房の形状の客観的な表現方法の検討,支持機能に着目した茎断面の形態観察を行った.主な研究成果は以下の通りである. 1.クジャクアスター4品種について,ファイトマー(葉,葉柄,節間,腋芽,節の一組)とモジュール(2/5互生葉序であることから,連続する5つのファイトマーを一組とする)を生長解析の単位構造とし,それらの節間長,直径,体積,乾物重,側枝長,側枝重,および頭状花数を調査した.連続するモジュールはほぼ互いに相似形になっており,アスターの生長はモジュールが上に次々と連結することとみなせることがわかった.花序構成の定量化および品種比較を行う上で,モジュールを調査の単位とすればよいことがわかった. 2.生長の規則性として,頭状花数および乾物重と茎直径の3乗の間に高い相関が認められた.乾物重と直径3乗との間の比例定数は品種とは無関係に一定であったが,頭状花数と直径3乗との間の比例定数には品種間差異が現れることがわかった. 3.草姿(F)を行列を用いて,F=(c1,c2,c3,…)と表せば,草姿形成に対する遺伝的および環境的要因の影響は,F=E・R・F0というマトリックスモデルで表現できることがわかった.ただし,c1,c2,c3,…は茎長,茎径などの形質,Eは温度,日射量,日長などを表す行列,Rはアスターの環境応答を規定する行列で、F0はFの初期値である. 4.シュッコンアスターの品種群は,主茎の太さに対する全体の重さにより、大輪小花性品種あるいは小輪多花性品種に分類でき、この差は木化度の差によると考えられた.
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