1995 Fiscal Year Annual Research Report
ユリ・オリエンタル系ハイブリッドの生活環の調節機構の解明と効率的生産技術の開発
Project/Area Number |
07660035
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田村 文男 鳥取大学, 農学部, 講師 (50217197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 賢二 鳥取大学, 農学部, 教授 (40032106)
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Keywords | ユリ / 組織培養 / 液体培地 / 効率的増殖 |
Research Abstract |
ユリ・オリエンタル系ハイブリッドの織培養時における品種別の球茎分化の最適ホルモン条件は原種ではNAA0.5ppm単独添加で最も高く、サイトカイニンを加えるとむしろ低下した。一方、園芸種ではNAA0.1〜0.5ppm、カイネチンあるいはBA0.01〜0.05ppmの添加で最も高い球茎分化率を示した。しかし、品種によりその最適条件は異なっており、遺伝的に類縁関係が近い品種はほぼ同様なホルモン組成で最も高い球茎分化率を示し、今後新しい品種を増殖する場合にも、その遺伝的な背景を元に培地のホルモン組成を決定できるものと思われた。 分化後の球茎の良好な肥大は、液体培地量100mlに対して約3gまでは植え付け量が多いほど明らかに生長速度が速かった。従って、液体振とう培養を用いる場合には、ある種の密度効果が期待できるものと思われた。その原因として培地中ならびに生体中の糖組成の変化を調査したところ、培地中のスクロースは生体量が多いほどグルコースとフルクトースに分解されやすいこと、またユリの球茎肥大は単糖の方がスクロースより優れていることが明らかになった。従ってこれらの点が植え付け量が多い方が肥大がむしろ促進される原因と思われた。一方、球茎の澱粉蓄積は、糖濃度が一定以上になると急激に高まり、その結果糖濃度が低下すると糖の取り込み速度が速くなることが見いだされた。このサイクルは培地の糖濃度が著しく低下すると停止し、球茎肥大速度も遅くなった。従って、植え代え期間や養分の補給を決定するためには、生体の糖の取り込みサイクルを勘案して行うことがより効率的と思われた。
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