1995 Fiscal Year Annual Research Report
鱗翅目シャクガ科昆虫の性フェロモンおよび性誘引物質の追究とその利用
Project/Area Number |
07660053
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
安藤 哲 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (50151204)
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Keywords | フェロモン / 性フェロモン / 鱗翅目蛾類昆虫 / ヨモギエダシャク / 誘引剤 / 害虫防除 / キラルHPLC / 光学分割 |
Research Abstract |
(1)キラルなHPLCカラムによるepoxydiene構造を有する蛾類性フェロモンの光学分割 炭素数17〜23の(3Z,6Z,9Z)-trieneから誘導される3つのcis-epoxydiene(3,4-epoxy体,6,7-epoxy体および9,10-epoxy体)を、それぞれラセミ混合物の状態で野外試験に供試したところ、これまでにシャクガ科9種、ヤガ科7種の雄成虫の特異的な誘引を認めることができた。そこで、次に光学活性体の誘引試験を行う目的で、まずキラルなHPLCカラによるラセミ混合物の光学分割の可能性を検討した。溶離液であるヘキサン/イソプロパノールの混合比を検討したところ、アミロース系のキラル固定相カラムを用いることによて、各epoxy化物の2つの光学異性体は、(+)-体、(-)-体の順に分離して溶出することがわかった。各異性体の絶対配置は、エポキシ環を開環して得られる2級アルコールをMTPAエステルに誘導後Mosher法を適用し、(+)-体が(3S,4R)で(-)-体が(3R,4S)であることが明きらかとなり、不斉エポキシ化反応で合成された化合物の旋光性と一致した結果を得ることができた。 (2)ヨモギエダシャク雌成虫の分泌するフェロモンの同定 ヨモギエダシャク(Ascotis selenaria cretacea Butler)は鱗翅目シャクガ科に属する昆虫で、時として茶園・リンゴ園にて大発生し被害をもたらす。シャクガ科昆虫を対象にした一連の合成性フェロモン関連化合物の野外試験において、本種の雄成虫は3,4-epoxy-(6Z,9Z)-nonadecadiene に特異的に誘引された。今回、キャピラリーカラム(DB-23,30m)を備えたGC-MSにて処女雌抽出物を分析したところ、合成標品と同一な特徴的な開裂イオン(m/z220,206)を与える3,4-epoxy体が存在し、また、(3Z,6Z,9Z)-nonadecatrieneの存在も確認された。現在、風洞実験にてこの不飽和炭化水素の配偶行動における役割を検討中である。
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[Publications] 安藤哲,他6名: "Sex Attractants of Geometrid and Noctuid Moths:Chemical Charaterization and Field Test of Monoepoxides of 6,9 -dienes and Related compaunds" Journal of Chemical Ecology. 21. 299-311 (1995)