1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660057
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高藤 晃雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日本 典秀 農林水産省蚕糸, 昆虫農業技術研究所・遺伝育種部, 研究員
矢野 修一 京都大学, 農学研究科, 助手 (30273494)
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Keywords | 寄主拡大 / 寄主適合性 / ナミハダニ / ホストレース |
Research Abstract |
広食性のナミハダニが不適な寄生に適合するプロセスについて調べるために、好適な寄主であるバラから採取した系統(コントロール系統)とキクに発生している系統(キク系統)を用い、両者の生態的パフォーマンスを比較した。 1)キク葉上での生存率は、コントロール系統のほうが有意に低く、葉から脱出して死亡する個体が多かった。このような脱出個体は、キクに対して忌避性を示すものと思われた。キク系統はキク葉でも産卵したが、コントロール系統の産卵数はわずかであった。 2)Y字型オルファクトメータを用いてキク葉のにおいに対する誘引反応を比較すると、コントロール系統はキク葉に対して忌避性を示したが、キクのにおいを経験させると、その忌避性が低下した。一方、キク系統はキクへの忌避性を示さないが、一度、好適な寄主であるマメに摂食経験させるとキクへの忌避性がやや増加した。 以上から、ナミハダニには寄主のにおいに対する学習能力があることが明らかになった。分散力が限られ、寄主を自由に選択できないナミハダニのような広食性の種では、一度、不適な寄主に運ばれると、そこでの摂食経験により不適な寄主への忌避性を克服することができ、そのことが不適な寄主へ分布拡大する第一歩であると結論できる。今後は、不適な寄主に定着した個体がそこで増殖を繰り返す過程で、どのような遺伝的変化が生じるかを解明する必要がある。
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