1996 Fiscal Year Annual Research Report
Geotrichum candidumの生理学的ならびに病理学的研究
Project/Area Number |
07660063
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
荒井 啓 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20012015)
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Keywords | Geotrichum candidum / citrus cace / カンキツ白かび病菌 / 菌学 |
Research Abstract |
(1)土壌より分離したGeotrichum candidumは、カンキツに病原性のあるcitrus race(CR)と病原性のないnon citrus race(NCR)に分れたので、それらの性質を調べた。その結果、CRとNCRでは菌叢の性状、菌糸とその分岐状態、分生子の形態に顕著な差は認められなかった。しかし、PDA培地あるいはpH2.2の滅菌レモン汁における生育はCRが良く、NCRと区別できた。(2)YED倍地とレモン果皮を用いて両系統のpolygalacturonase(PG)活性を比較したところ、CRはYED倍地とレモン果皮でNCRよりそれぞれ9倍、4.6倍以上の活性を示すとともに、組織軟化の程度も6倍以上を示し、本菌の病原性にPGが強く関与していることを示唆した。(3)ウンシュウミカンの果実の塾度と収穫後の貯蔵期間における本菌の感受性を調べた。その結果、若い緑色果実は塾度の進んだ黄色果実に比べて感受性が高いことが分った。果実に含まれる糖類、ポリフェノール、クエン酸、水分含量を調べたところ、若い果実では糖類とポリフェノールの含量が少なく、クエン酸と水分が多い結果が得られ、これらの成分比が感受性に関与していることを示唆した。貯蔵中の果実では感受性に有意な差は認められなかった。(4)カンキツ果実の成分として知られている揮発性化合物のうちの18種を用い、本菌の発芽および生長に及ぼす影響を調べ、ヘプタノール、デカノール、ノナノール、デカノールが1,000ppm濃度で発芽および成長を阻害することを認めた。(5)ベフラン-25およびクロラミン-Tの本菌に対する影響を調べた結果、ベフラン-25は1,000ppmで本菌の生育と病斑の進展を抑えた。また、カンキツからの分離株が、土壌からの分離株より感受性が高かった。一方、クロラミン-Tは0.1%で本菌の生育を抑えたが、病斑の進展には影響せず、分離源による感受性の差も認められなかった。
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[Publications] Supraputa,D.N.: "Change in susceptibility of satsuma mandar in fruit to sour rot pathogen with relation to biochemical changes during maturation and storage." Mycoscience. 37. 209-216 (1996)
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[Publications] Suprapta,D.N.: "Some physiological properties of citrus and noncitrus races of Geotrichum candidum isolated from Japan." Mycoscience. 37(印刷中). (1996)
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[Publications] Supraputa,D.N.: "Ettects of volatile compunds on arthrospore germination and mycelial growth of Geotrichum candidum citrus race." Mycoscience. 38(印刷中). (1997)