1997 Fiscal Year Annual Research Report
シイタケのPseudomonas属菌溶解能に関する遺伝学的検討
Project/Area Number |
07660066
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Research Institution | The Tottori Mycological Institute, The Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
村上 重幸 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (00072794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 昭彦 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (30142087)
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Keywords | シイタケ / 細菌溶解能 / きのこの軟腐病 / Pseudomonas gladiori pv.agaricicola |
Research Abstract |
細菌溶解能に関し、強(1菌株)および弱溶解能(2菌株)を示したシイタケ株からF1一核菌糸体を得た。強株由来の担子胞子の発芽率は良好で,得られるF1一核菌糸体の生育も斉一であるのに対し,弱株はともに劣性の致死因子を有しており,F1一核菌糸体の生育も劣るものが大半であった。これらの株内交雑により二核菌糸体を調整し,寒天培地上での生育テストを行ったところ、弱溶解能を示す菌株の株内交雑二核菌糸体は、強溶解能株のものより生育が劣る傾向が見られた。これらの二核菌糸体の細菌溶解能について調査した。その結果,強溶解株由来の二核菌糸体の大半が比較的強い溶解能を示した。一方,弱溶解能由来の多くは溶解能が劣るが,生育の良好なもののなかに強溶解能を示すものが見られた。但しこの場合,生育と溶解度との相関は見られなかった。以上の結果から,もとの親の細菌溶解能の強弱は,シイタケ菌株に内在する種々な劣悪な因子の有無に起因するものと推察された。 上記実験と並行して、きのこの軟腐病菌Pseudomonas gladiori pv.agaricicolaの接種試験を日本の主要な栽培きのこを用いて行った。本菌は広い宿主範囲を有し,キチナーゼを生産しており,β-glucanaseと相まって病原性を示すものと思われる。なお,子実体表面に粘膜を有するナメコは本病原菌に耐性であった。また、きのこ菌種との対峙培養において,いくつかのきのこ菌種の菌糸伸長が強く抑制されることから、何らかの抗菌性毒素を生産するものと考えられた。これらの研究成果を取りまとめてCanadian Journal of Microbiology43巻で報告した。
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Research Products
(1 results)