1995 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫剤抵抗性遺伝子の予想されるアミノ酸配列保存領域を利用したクローニング
Project/Area Number |
07660067
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
冨田 隆史 国立予防衛生研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20180169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 義明 国立予防衛生研究所, 昆虫医科学部, 室長 (10225386)
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Keywords | アセチルコリンエステラーゼ / チトクロム P450 / ツマグロヨコバイ / イエバエ / cDNA / 殺虫剤抵抗性 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.イエバエのジフルベンズロン抵抗性に関わるP450のcDNA解析:昆虫のCYP6族のP450でタンパク配列が保存されているP450還元酵素結合領域およびヘム結合領域より,3つの縮重フォワード・プライマーを設計し,一方,mRNAのpoly(A)部位を認識する12のリバース・プライマー((ACGT)(ACG)T_<10>-anchor)を用意し,それらを用いたPCRにより感受性系統由来cDNA配列を増幅し,6個の部分的cDNA配列を単離した。これらは,CYP6族P450のC-末端近傍に特徴的な保存されたアミノ酸を含んでいたことから,P450をコードする配列である可能性がある。そのうち2つはイエバエで既知のCYP6A1およびCYP6D1のcDNA配列と98%以上一致した。単離した配列がP450配列をコードするというためには,さらに,既知のP450遺伝子スーパーファミリーのヘム結合領域でほぼ完全に保存されているFXXGXRXCXG配列を有することを確認しなければならない。 2.ツマグロヨコバイの有機りん剤低感受性アセチルコリンエステラーゼ(AChE)のcDNA解析: 昆虫3種および線虫1種のAChEでタンパク配列が高度に保存されている4つの領域から縮重したプライマーを設計し,それらを用いたPCRにより感受性系統由来cDNAを増幅し,73アミノ酸をコードする部分的cDNA配列を単離した。この配列は,すべてのコリンエステラーゼで保存されているFGESAGエステラーゼ部位をコードしていた。そのタンパク配列相同性は,3種の双翅目昆虫AChE(40-42%)に対してよりも,線虫AChE,ヒトBuChE,およびシビレエイAChE(44%,48%,および51%)に対して高かった。核酸ハイブリダイゼーション解析の結果,抵抗性系統AChE遺伝子では,遺伝子増幅もmRNAレベルの亢進も認められず,遺伝子コード領域の構造変化により抵抗性がもたらされていることを示唆した。タンパク質コード領域全長にわたる感受性および抵抗性系統由来配列を現在解析中である。
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