1996 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ根粒菌超反復配列保有株におけるゲノム再編成と生成要因の解析
Project/Area Number |
07660077
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
南澤 究 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (70167667)
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Keywords | 挿入配列 / ゲノム / 根粒菌 / ダイズ / トランスポゾン / 遺伝子伝達 |
Research Abstract |
ダイズ根粒菌超反復配列保有株は、土着の通常株から挿入配列(IS)の介在するゲノム再編成によって圃場生態系の中で生じたことを明らかにするために、超反復配列保有株から新規に単離されたISB14全塩基配列の決定および共生遺伝子周辺における逆方向状態の挿入配列(IS)の存在の検討を行った。 昨年度単離されたISB14Aは、全長1394bpで44bpの末端逆方向繰返し配列を持ち、鉄酸化細菌Thiobacillus ferrooxidansのIST2やアルファルファ根粒菌Rhizobium melilotiのISRm3などとDNAレベルで高い相同性を示したのみでなく、ISB14Aで見つかったORFは鉄酸化細菌のIST2内の転移を触媒するトランスポゼ〜スとアミノ酸レベルで54%(類似アミノ酸残基を考慮すると85%)という高い相同性を示した。これは、構造面からISB14Aが原核生物型の挿入配列(IS, Insertion sequence)であることを示しており、本研究で単離された新規の他の配列もISであるものと考えられた。新潟タイプの超反復配列保有株NK6株のゲノム上に存在する共生遺伝子nif/hup/nod遺伝子周辺のマッピングを行ったところ、nif領域が逆方向状態のRSαで挟まれた複合トランスポゾンの構造が実際に存在することが明らかとなった。また、共生遺伝子周辺では、ISの挿入、欠失、遺伝子重複などの激しいゲノム再編成の痕跡が観察された。 根粒形成遺伝子を欠失した別種のダイス根粒菌Bradyrhizobium elkanii USDA94ΔNODを超反復配列保有株と混合して、低温条件下で1週間放置したところ、根粒形成能を回復したB.elkanii受容菌が単離された。この株は、超反復配列保有株NK5株からの根粒形成遺伝子の伝達と挿入配列FK1の増加が観察され、超反復配列保有株の遺伝子水平伝達のポテンシャルが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Minamisawa, K. et al: "Soybean bradyrhizobia population dynamics" Nitrogen Fixation Fundamentals and Application, Kluwer. 711 (1995)
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[Publications] Minamisawa, K.: "Evidence for genome rearrangements in Bradyrhizobium japonicum" Abstract of JSPS-NSF Joint Seminar. 9 (1995)
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[Publications] Yuhashi,K.et al: "Bradyrhizobium elkanii induces outer cortical root root swelling in soybean" Plant Cell Physiol.36・8. 1571-1577 (1995)
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[Publications] Minamisawa, K. et al.: "Inddepyrvate pathway for indole-3-acetic acid biosyn the sis in Bradyrhizobium elkanii" Plant Cell Physiol.37・4. 449-453 (1996)
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[Publications] Minamisawa, K.: "Hydrogenase activity of Soybean nodule doubley infected urth Bradyrhizobium japonicum and B. elkanii." Soil Sci. Plant Nutr.42・4. 917-920 (1996)
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[Publications] 南沢 究: "「遺伝生態情報の可能性」IGEシリーズ No23" 東北大学遺伝生態研究センター, 149 (1996)