1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660078
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
犬伏 和之 千葉大学, 園芸学部, 教授 (00168428)
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Keywords | 湛水土壌 / 水田 / メタン / メタン生成菌 / 嫌気性細菌 / 微生物相 / 有機物連用効果 / バイオログ |
Research Abstract |
水田はアジアを中心に約1億5千万ヘクタール広がり、約20数億の人口を支える重要な食料生産基盤である。また湛水により嫌気的環境が支配的なため、メタン生成菌など絶対嫌気性菌が多いと言われている。メタン生成菌は強力な地球温暖化ガスであるメタンを生成し大気環境に大きな影響を及ぼすとされている。しかし、水田土壌中のこうした嫌気性菌の生態や微生物相などについての知見は極めて限られており、地球環境を保全していくための嫌気性菌の制御は現状では極めて困難である。 そこで本研究では、PCR法や基質利用性を用いたバイオログ法を湛水土壌に適用し、嫌気性細菌の検出と微生物相の解析とその活性評価を行う。これと平行してメタン生成菌の分布様式や他の微生物群との競合関係の解析、その変動要因や生残機構の解明などを明らかにし、メタン生成を微生物学的に制御する手法を提案する。 本年度は以下の項目について検討した。 1)湛水土壌からのDNA抽出・精製法の検討を続け、特にDNA抽出条件を検討し改良を加えた。メタン菌に特有な16SrRNA塩基配列を用いたPCR法により、水田土壌中のメタン生成菌の微生物相を探った。 2)水田土壌中のメタン生成活性と基質の関係を、有機物連用を用いた水田マイクロコズム実験で検討した。 3)水田土壌中のメタン生成菌とともに競合する他の嫌気性細菌の基質としても重要な酢酸の代謝速度から、メタン生成活性と呼吸活性とを評価した。その結果、湛水初期と中後期では基質利用性が大きく異なることが明らかとなった。 4)湛水土壌から分離したメタン生成菌の同定を行うため、形態観察と基質利用法によるバイオログ法を検討した。しかし培養中の嫌気度の維持や再現性などでさらに検討する必要が残された。
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[Publications] 犬伏和之: "水田土壌におけるメタンフラックスの影響因子解析" 日本土壌肥料学会講演要旨集. 42. 221 (1996)
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[Publications] Chidthaisong,A: "Production potential and emission of metiane in flooded ricemicrocapns after continuos application of straw" Microbes and Environments. 11・3. 73-78 (1996)
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[Publications] Chidthainsong,A: "Methanogenic characteristics of flooded rice soils in response to glucose amendment" Soil Science and Plant Nutrition. 42・3. 645-649 (1996)
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[Publications] Inubushi,K: "Methanogenesis,methane oxidation and emission in submerged paddy soil" Proc.Int'1 Workshop on "Paddy Field : Control of GHG's". 17 (1996)
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[Publications] 犬伏和之: "砂質及び壌質水田土壌におけるメタン生成活性及びメタン放出とメタン生成菌数測定法の検討" 日本土壌肥料学会講演要旨集(発表予定). 43(印刷中). (1997)
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[Publications] Ueda,T.: "Microbial diversity and the cycling of N in soil ecosystems,in Microbial Diversity in Time and Space" Plenum Press, New York ; ed.by Colwell et al., 172 (1996)