1996 Fiscal Year Annual Research Report
センダイウイルス膜融合蛋白質の遺伝子発現による細胞融合の解析
Project/Area Number |
07660088
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Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平 秀晴 岩手大学, 農学部, 教授 (70045756)
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Keywords | センダイウイルス / Fタンパク質 / HNタンパク質 / 細胞融合 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
センダイウイルスによる細胞融合反応に関与するF,HNタンパク質の役割をウイルスの遺伝子レベルで明らかにすることを目的とし、以下の結果を得た。 (1) F遺伝子の開裂部位の構造を易開裂型であるニューカッスル病ウイルス(強毒株)の開裂部位の構造(-AGRRQKR/FF-)へ変換し、変異F遺伝子を作成した。COS細胞の発現系を用いて解析した結果、変異Fタンパク質は細胞内の内在性プロテアーゼによりF1とF2へ開裂した。細胞融合にはHNタンパク質と変異Fタンパク質が共に細胞表面へ出現し、同時にFタンパク質の開裂が必要であることが示された。 (2) Fタンパク質のS-S結合の機能を明らかにする目的で12ケ所のCysをSerに変換した変異F遺伝子を作成し、COS細胞の発現系を用いて、発現と細胞融合活性を解析した。いずれのシステイン変異Fタンパク質も正しい高次構造が形成されず、小胞体内(ER)にとどまっていることが示唆された。 (3) F遺伝子の3ケ所の糖鎖付加部位へ変異を導入した。即ち付加モチーフ(Asn-X-Ser/Thr)のAsnをGlnに変換させたF遺伝子を作成し、糖鎖の役割を解析した。その結果、Fタンパク質の融合ペプチド領域近傍に存在する糖鎖付加部位の欠失F遺伝子は、HN遺伝子との共発現で非常に効率よく細胞融合を誘導することを明らかにした。 (4) HN遺伝子の5ケ所の糖鎖付加部位へ変異を導入し、糖鎖の役割を解析した。糖鎖が付加されうる部位はN末端から1、3、5番目の3ケ所であること、特に細胞膜外に突出したglobular headに存在する糖鎖付加部位3、5に糖鎖が付加することがHNタンパク質のフォールディングや細部内輸送に重要な役割を果たしていることが強く示唆された。 (5) F及びHNタンパク質の細胞内輸送機構を明らかにする目的で、小胞体(ER)の分子シャペロンであるBiP及びcalnexin抗体を用いて解析した。両タンパク質の高次構造形成にはcalnexinとの相互作用が必須であること、また不正確な高次構造を有する分子種はBiPと相互作用することによりERに留められていることが推定された。
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[Publications] Taira,H.et al.: "Transfection of Sendai virus F gene cDNA with mutaions at its cleavage site and Hn gene cDNA into COS cells induces cell fusion." Arch.Virol.140. 187-194 (1995)
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[Publications] Sato,T.et al.: "Expression of the Sendai virus fusion protein and the hemagglutinin-neuraminidase protein using a baculovirus vector." Biosci.Biotech.Biochem.,. 57. 566-570 (1993)
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[Publications] Taira,H.et al.: "Construction of expression plasmids for the fusion protein of Sendai virus,and their expression in E. coli cells and eucaryotic cells." FEBS Lett.262. 39-41 (1990)