1995 Fiscal Year Annual Research Report
キメラ酵素構築による不溶性多糖加水分解酵素の構造と機能の解析
Project/Area Number |
07660093
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大井 俊彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (40223713)
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Keywords | Aspergillus aculeatus / Bacillus pumilus / セルラーゼ / キシラナーゼ / 糖質加水分解酵素 / キメラ酵素 |
Research Abstract |
糸状菌A.aculeatus由来のセルラーゼおよび細菌B.pumilus由来のキシラナーゼは進化的にも遠く、両酵素蛋白質間の一次構造上の相同性は低い。しかしながら、それらの立体構造は非常に高い類似性を示す。そこで不溶性糖質加水分解酵素の構造と機能を解析するため、両酵素間のキメラ酵素蛋白質を遺伝子操作技術を用いて作製し、得られたキメラ酵素の立体構造と活性発現の関係に関する基礎的知見を検討することを最終目的としている。本年度においては、キメラ酵素の構築とそれらの高発現系について中心的に検討した。 両酵素とも2枚のβ-シートの間にはさまれたクレフトと考えられる領域に活性部位が存在し触媒活性を直接担っていると考えられている。両酵素のα,β領域とβ,β領域を連結するヒンジ部分でそれぞれの領域が分断できる構造のため、キメラ酵素構築のためには両酵素分子のβ,β-領域とα,β-領域とを分断し両者をそれぞれ交換した形で構築する必要があるが、セルラーゼ[C]およびキシラナーゼ[X]の両構造遺伝子上においては、キメラ-1は、[X-C-X]、キメラ-2は[C-X-C]となるように各遺伝子の読み取り枠を保存して連結する必要がある。そのためキメラ-1ではセルラーゼおよびキシラナーゼ遺伝子の連結部分近傍に、新たに制限酵素部位を部位特異的変異操作によって導入し、新たに作製した制限酵素認識部位の間を合成リンカーを介して連結することで構築した。一方、キメラ-2においては新たに設計した4種のオリゴヌクレオチドを用いてPCR法を行い増幅した両遺伝子のDNA断片を連結することで構築した。その結果、両キメラ遺伝子の構造は読み取り枠が変化せず設計どうりの構造になっていることが、それらの塩基配列を決定することで確認された。次に構築した両キメラ遺伝子は、大腸菌発現ベクターであるpKP1500のtacプロモーターの下流に挿入し大腸菌JM109株を形質転換した。両キメラ遺伝子を保持する各形質転換株の全蛋白質をSDS-PAGEで分析したところ、予想された分子量に相当する蛋白質バンドの存在が確認された。さらに、これら蛋白質は両酵素に対する抗血清と反応することがウェスタンブロッティングにより確認されたことから、両キメラ蛋白質の発現していることが確認された。
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