1996 Fiscal Year Annual Research Report
脱皮ホルモン活性発現に必須な化学構造の解明とホルモン-受容体の結合様式の予測
Project/Area Number |
07660135
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中川 好秋 京都大学, 農学部, 助手 (80155689)
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Keywords | dibenzoylhydrazine / 脱皮ホルモン / エクダイソン / 定量的構造活性相関 / ニカメイチュウ / ステロイド / CoMFA / 培養表皮 |
Research Abstract |
ジベンゾイルヒドラジン類は、脱皮ホルモン様活性を示すとともに、強い殺虫活性を有している.なかでも,一方のベンゼン環が3,5-ジメチルで,もう一方のベンゼン環が4-Etで置換された誘導体は,隠し目昆虫に対して非常に強い殺虫効果を示すことから実用化されている.しかしながら,これらの化合物は,天然のステロイド系脱皮ホルモンである20-ハイドロキシエクダイソンとは拮抗的に作用するにもかかわらず,構造的に大きく異なっていて,両者の構造上の類似性については不明である.これまでの3次元定量的構造活性相関解析(CoMFA)および合成研究から,エクダイソン類のアルキル側鎖がヒドラジン類の一方のベンゼン環(t-Bu基から遠い方)に対応している可能性を示した.本年度は,さらに誘導体の合成を行い,ニカメイチュウ培養表皮系を用いてホルモン活性を求めた.また,これまでに得られた結果と合わせて,構造活性相関を3次元的に定量的に解析した.3次元定量的構造活性相関解析においては,特に,ベンゾイルヒドラジン類のt-Bu基から遠いほうのベンゼン環がエクダイソンのアルキル側鎖に対応する可能性がより明確になると共に,二つのカルボニル酸素原子は,活性発現に非常に重要であると考えられているエクダイソン類の20,22-位の酸素原子に対応している可能性も示唆された.現在は,もう一方のベンゼン環や窒素原子の役割,さらには既に明らかにされているエクダイソン受容体のホルモン結合部位との分子レベルにおける相互作用についても検討を加えている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Nakagawa: "昆虫脱皮阻害剤の定量的構造活性相関" 日本農薬学会誌. 21巻. 363-377 (1996)
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[Publications] K.Nishimura et al.: "Effect of the insect growth regulators,N-tert-butyl-N,N′-dibenzoylhydrazines,on neural activity of the American cockroach." Comp.Biochem.Physiol.114C. 141-144 (1996)