1996 Fiscal Year Annual Research Report
ピペコリン酸によるウキクサの花芽形成誘導機構の解析
Project/Area Number |
07660146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤岡 昭三 理化学研究所, 植物生活環制御研究室, 先任研究員 (60165355)
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Keywords | ウキクサ / 花芽形成 / ピペコリン酸 / リジン代謝 |
Research Abstract |
昨年度、リジンと花成誘導の関係を追究したところ、ピペコリン酸処理に比べると活性は弱いものの、リジン単独でも花成誘導効果を示し、さらに、アミノアジピン酸を培養液に添加することによって、顕著な花成が誘導されることを見出した。これらのことからリジン代謝が花成と関連していることが示唆された。ウキクサから花成誘導物質として単離したピペコリン酸は、動物や微生物の系ではリジン代謝と係わりがあることが示されているので、リジンから生成するピペコリン酸を介して花成が誘導されるであろうと推測した。重水素標識したリジンを培養液に添加して、実際に重水素標識ピペコリン酸が生成するか否か検討した。代謝物を精製後、最終的にTMS誘導体にした後、GC-MSで分析した結果、内生のピペコリン酸とともに重水素標準ピペコリン酸が検出された。従って、リジンによるウキクサの花成誘導はリジンから生成するピペコリン酸を介していることがわかった。 ピペコリン酸処理、未処理のウキクサからタンパク質を抽出し、差異を検討したところ、大きな違いは見出されなかったが、未処理のウキクサから処理区よりも量的に多いバンドが検出された。このタンパク質の減少と花成誘導との関連は、現時点では不明であるが、花成と何らかの関連があるかもしれない。
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