1995 Fiscal Year Annual Research Report
老化における酸素および糖ストレスによる筋肉タンパク質の機能変化
Project/Area Number |
07660148
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長澤 孝志 岩手大学, 農学部, 助教授 (80189117)
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Keywords | 老化 / 加齢 / 活性酸素 / グリケーション / 筋肉タンパク質 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
骨格筋タンパク質は体タンパク質のの40%を占める体の中では最大の組織であるが、代謝回転が他の組織タンパク質より遅いため、活性酸素や糖により修飾されたタンパク質が蓄積されやすいと考えられる。本研究において加齢に伴う骨格筋タンパク質の酸化修飾とグリケーションの骨格筋タンパク質の機能に及ぼす影響について検討した結果、以下の知見を得た。 1.8ヵ月齢のWistar系雄ラットの後肢筋タンパク質のカルボニル基含量はヒラメ筋(赤筋)、長指伸筋(白筋)ともに対照の1ヵ月齢ラットに比べ増加し、TBARSも増加した。しかし、肝臓では増加は認められなかった。 2.グリケーションの指標となるフラクトシルリジンも加齢に伴い増加した。 3.筋肉タンパク質の酸化修飾をより詳細に調べるために、カルボニル基(DNP-)に特異的なモノクローナル抗体を用いてSDS-PAGEで分離した骨格筋タンパク質についてイムノブロットを行ったところ、アクチンと分子量4万程度のタンパク質が顕著に酸化修飾されていることが明らかとなった。肝臓ではこのような変化は認められなかった。 4.筋肉のSOD活性の加齢による変化は認められなかった。 5.筋肉タンパク質の分解速度は8ヵ月齢で50%以下に低下した。 6.In vitroで酸化させた筋原線維タンパク質のミオシンATPase活性は対照に比べ低下した. 以上より、加齢に伴い肝臓よりも骨格筋タンパク質において酸化修飾タンパク質が蓄積し、収縮機能に対しても影響する可能性があるが、これは抗酸化系酵素の活性低下よりも筋肉タンパク質の分解、修飾タンパク質の除去能が低下したためと考えられた。今後、この点を明らかにするために培養細胞なども用いて分解酵素系の検討、およびグリケーションとの関係を追及する。
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