1996 Fiscal Year Annual Research Report
老化における酸素および糖ストレスによる筋肉タンパク質の機能変化
Project/Area Number |
07660148
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長澤 孝志 岩手大学, 農学部, 助教授 (80189117)
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Keywords | 老化 / 加齢 / 活性酸素 / グリケーション / 筋肉タンパク質 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
骨格筋タンパク質の非酵素的な修飾が老化による骨格筋の機能低下の原因の一つである可能性について、以下の検討を行った。 1. 17ヵ月齢のSD系ラットの骨格筋タンパク質の酸化修飾をタンパク質カルボニル基含量から評価したところ、白筋、赤筋ともに4週齢ラットに比べ2〜3倍程度増加した。また、9ヵ月齢ラットの骨格筋タンパク質の酸化修飾を抗DNP抗体を用いたウエスタンブロットで解析したところ、若齢ラットに比べミオシンと分子量10万付近のタンパク質が顕著に修飾されたことが示された。 2. 骨格筋タンパク質の分解速度を4週齢、9ヵ月齢および17ヵ月齢ラットの単離骨格筋切片からのチロシンの放出速度から測定した。その結果、加齢に伴い著しくチロシンの放出速度が減少、すなわち分解が低下したことが明らかとなった。このとき、どの月齢においても非リソソーム系分解活性の割合には変化がなかった。 3. 加齢による骨格筋タンパク質の非酵素的糖化(グリケーション)を抗AGE抗体を用いたウエスタンブロットで解析したところ、加齢に伴うグリケーションの変化は見られなかった。 4. 継代した培養筋管細部であるL6細胞では有意なタンパク質の酸化修飾は認められなかった。おそらく、この細胞が未分化細胞であることによると考えられる。 以上の結果、および昨年度の結果から、骨格筋においては加齢に伴いSOD活性の低下からフリーラジカルが増加し、一方タンパク質の分解速度は遅くなるため、酸化修飾されたタンパク質が蓄積し、それが収縮機能に影響を及ぼすものと考えられた。
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