1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660174
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
ます重 正一 東京農業大学, 農学部, 教授 (70078153)
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Keywords | ビタミンA / レチノイン酸 / 遺伝子発現 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本研究はビタミンA(以下A)の生体内情報伝達機構を、インタクトな生体を用いてその代謝と、代謝物依存性遺伝子の検索並びに生理機能を明らかにすることが目的である。 1.ラットをA欠乏飼料で飼育して欠乏状態の各段階で、血中並びに肝臓中のレチノール(ROL)並びにレチノイン酸(RA)の異性体を、HPLC法により分別定量して通常飼育のラットと比較した。同時にビタミンAの栄養状態に応じて発現が変動するRARβ mRNAの発現量をノーザンブロット法で測定してそれぞれの相関を調べた。その結果、ROLはA欠乏ラット肝臓で25日目に枯渇し、次いで血中で急減して40日で消失した。しかし、A欠乏に伴うall-trans-RA(ATRA)と13-cis-RA及びRARβ遺伝子現量は比較的緩慢の減少し40日以後も存在していた。一方、9,13-dicis-RAの減少は極めて急であった。なお、9-cis-RA(9CRA)は本システムでは通常飼育、欠乏ラットともに検出されなかった。このようにA欠乏に伴う代謝産物の挙動は異なっていた。 2.ビタミンAはATRA並びに9CRAに代謝されそれぞれをリガンドとするRAR及びRXRに結合して、標的遺伝子の転写を制御する。一方、Aの生理作用の多様性から、未知のレチノイド依存性遺伝子の存在が考えられた。そこでまず、妊婦11.5日目の母ラットにRAを過剰投与して、4時間目に胚を摘出してDifferential Display法(DDM)により検索し、胚性期並びにレチノイド依存的なクローン(KT1)を見出すことができた。また、A欠乏並びにRA過剰雄ラット精巣から、DDMでRA依存的・精巣特異的に発現する遺伝子(C57)のクローニングに成功した。今後は、これら遺伝子の構造と機能解析並びにゲノムDNAの取得を行い、生理機能を明らかにすることを目的に研究を進める。1並びに2を組合せて解析することでAの生体内機能の一端が分子レベルで解明されると考える。
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