1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660174
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
舛重 正一 東京農業大学, 農学部, 教授 (70078153)
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Keywords | ビタミンA / レチノール / レチノイン酸異性体 / ビタミンA欠乏 / レチノイン酸受容体 |
Research Abstract |
昨年度は、ビタミンAの代謝と代謝産物の生理作用について、生体内ビタミンA濃度の減少に伴う各レチノイン酸異性体の減少パターンが異なることを明らかにすることができた。 そこで8年度はビタミンAの栄養学的あるいは生理学的に真に指標となる同族体は何なのか決定することを目的に以下の実験を行い、いくつかの知見を得た。ビタミンAと代謝産物レチノイン酸体内レベルの異なるラットを各作成し、ビタミンAレベルに鋭敏に応答するRARβ遺伝子発現量をノザンブロット法により測定することで、レチノールとレチノイン酸のどちらかがビタミンAの生体レベルでの指標として適当なのか評価した。その結果、RARβ遺伝子発現量は体中レチノール量に比べ、体中レチノイン酸量とより高い相関性のあることが明らかとなった。また、ビタミンA欠乏ラットにレチノールを経口投与したところ、レチノイン酸は短時間(1時間)で肝臓、血液中で検出されたのに対し、レチノールは遅れ2時間で検出された。これらの結果は、ビタミンA欠乏ラットにおいてはレチノールは速やかに肝臓に運ばれた後、標的組織に転送され、次いでその組織内で活性本体であるレチノイン酸に代謝されて生理作用を発揮することを示している。また、これまでビタミンA生理量の指標とされてきたレチノールに代え、むしろレチノイン酸量がより厳格に生理的ビタミンAの状態を示す指標になることが明らかにできた。
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