1996 Fiscal Year Annual Research Report
人為・自然攪乱に伴う広葉樹前生稚樹の環境応答能の解析と育林への応用
Project/Area Number |
07660185
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology, Faculty of Agriculture |
Principal Investigator |
小池 孝良 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10270919)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相場 芳憲 東京農工大学, 連合農学研究科, 教授 (00014944)
戸田 浩人 東京農工大学, 農学部, 助手 (00237091)
生原 喜久雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (00014960)
|
Keywords | 葉の構造 / 光環境 / 光合成反応 / クロロフィル組成 |
Research Abstract |
前年と当年の光環境の変化が、落葉広葉樹苗木の葉の構造と光フラックスに対する反応に及ぼす影響を調べることを目的とした。3つの光環境で生育した遷移上特徴のある、落葉広葉樹4樹種の苗木の葉の構造と光合成速度との関係を調べた。この結果に基づいて、前年の庇陰の影響を検討した。光合成速度は葉のクロロフィル含量ではなく、厚さと正の相関があった。前年、庇陰条件で生育したコナラとケヤキは全天条件で開葉しても、多くの葉が柵状組織を1層しか持たず、全天条件で生育してきた材料に比べて薄かった。全天条件では、大部分の葉が2層の柵状組織を持つ。また、1層の場合でも縦方向に長い細胞を持っていた。ヒナウチワカエデでは、光条件に関係なく柵状組織は1層であった。伐採や台風などで上層林冠がなくなった場合、前年の光環境の影響が翌年まで残る樹種があることが明らかになった。しかし、葉のクロロフィル含量と組成は展開中の光環境によって決まり、前年の光環境の影響を残す形態レベルでの制約を補償すると考えられる。前年に葉の柵状組織層数を決めることによって、開葉後、速やかに林床や弱光条件での光合成生産を開始できることが、林内孔状地で発達する樹種の特徴の1つであると推察された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Koike,T.,Miyashita,N.and Toda,H.: "Effects of shading on leaf structural characteristics of successional deciduous broadleaved tree seedlings and their silvicultural meaning" Forest Resources and Environment. 35. 9-24 (1997)
-
[Publications] Koike,T.,et al.: "Characteristics of light response of photosynthetic rate in Sasa kurilensis seedlings." Bamboo Journal. 14(印刷中).
-
[Publications] 小池孝良: "樹種の保全生態(1)森林修復の基礎" 北方林業. 49. 18-21 (1997)
-
[Publications] 小池孝良: "樹種の保全生態(2)森林修復と保全への展望" 北方林業. 49. 39-42 (1997)